経団連くりっぷ No.72 (1998年2月12日)

OECD諮問委員会/1月23日

多様な分野で日本人職員の採用増加を期待


経済開発協力機構(OECD)事務局への日本人職員の採用の増加を目的に来日したハカン・ハーレンOECD人事部長を迎えて、職員に求められる条件や採用の方法について説明を聞いた。同部長は、異なる文化的背景を持つ多様な職員の連携こそが良い成果を生み出すとして、経済分野に限らず多様な分野において、高水準の能力と柔軟性を兼ね備えた人材を、日本からより多く採用したいとの期待を述べた。

  1. OECDの職員採用状況
  2. パリのOECD事務局には約760名の専門職員が在勤し、うち60%が公共部門、20%が民間部門、10%が大学、10%が他の国際機関の出身である。日本人の専門職員は55名であるが、より多くの人材が多様な分野で活躍することを期待している。また現在、日本人職員の大部分が公共部門からの短期派遣であるが、今後は長期の、特に多様性を確保するためにも民間部門からの採用を増やしたいと考えている。

  3. 職員に求められる条件
  4. 事務局の職員は、加盟国代表がさまざまなテーマについて議論するために、
    1. 加盟国の経済分析、政策の調査、
    2. イシュー・ノートの作成、
    3. 会合の企画、
    4. 報告書の作成、
    等を行なう。したがって、職員には独立性と高度な能力、経験、学位、コミュニケーション能力が求められる。学位については、通常、博士または修士が要求されるが、国による学位制度の差違はもちろん、学位に代わる実務経験も考慮される。また公用語は英語とフランス語であるが、いずれも母国語としない者については、いずれか一方の言語に流暢であれば足りる。
    OECDには国別の職員割当て人数がない。職員は加盟国の代表ではなく、独立した事務局の一員という位置づけだからである。独自の文化的背景を持ったさまざまな国の職員が連携することにより、多様性から良い成果が生まれる。したがって、職員には職務への献身的な取組みとともに、異なるものを学び取る柔軟性が求められる。

  5. 職員採用の方法
  6. 職員の大部分は、加盟国からの応募者の中から競争試験により選抜される。募集に関する情報は、OECD人事部のホームページ(http://www.oecd.org/hrm/)に掲載されている。人事部では、応募を基に1ポスト当たり3〜5名の候補者を絞り込んだ上で、局長クラスによる面接で1名を選抜し、最終的に担当部局の局長が採用を決定する。

  7. OECD事務局職員の待遇
  8. 事務局職員は外交官特権を供与される。給与は非課税で、実務経験5〜10年クラスで月額約70万円、10〜15年クラスで同82万円、局長クラスで同96万円が目安である。加えて扶養家族手当、医療保険、年金、教育手当、転居手当、帰国手当なども支給される。


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