経団連くりっぷ No.74 (1998年3月12日)

クワシネフスキ・ポーランド大統領との懇談会/2月12日

ポーランド経済の展望および拡大するビジネス・チャンス


経団連では2月6日から14日にかけ来日したポーランドのクワシネフスキ大統領を招き、豊田会長はじめ経団連幹部と懇談会を開催した。クワシネフスキ大統領からは、ポーランド政府の経済・社会改革ならびにEU加盟に向けての同国の姿勢等について説明を受けた。以下はクワシネフスキ大統領の説明要旨である。

クワシネフスキ大統領

  1. 社会・経済改革の推進
  2. 1989年以来、社会・経済構造改革プログラムを実施した結果、民主体制が確立され、市場経済が導入された。今後、旧共産系または連帯系政権に拘わらず、継続的に構造改革が推進されることになっている。
    同改革の結果、ポーランド経済は大変好調である。特に経済成長率は著しく、年6%近い成長率を記録するまでになっている。
    また、政府の緊縮財政政策により財政赤字をGDPの1.5%にまで抑制してきており、97年は前年度比約40%台まで減少した。さらに3ケタ台あったインフレ率も、本年は9.5%にまで収束している。

  3. ポーランドを巡る新しい国際環境
  4. ポーランドは人口約4,000万人を有し、中欧・旧東欧圏では最大の市場を提供している。また、ポーランドはヨーロッパ大陸の中心に位置し、EU諸国と旧東欧・ソ連圏の国々との貿易・輸送の重要拠点となっている。冷戦時代にはポーランドは地政学的に西側にとっては脅威となっていたが、それは今や過去の遺物でしかない。また、安全保障の分野でも進展がみられ、ポーランドはNATOに正式加盟することにもなっている。

  5. EU加盟について
  6. ポーランド政府の政治の最優先課題は「EUへの加盟」である。本年、EU加盟に向けての交渉を開始するが、早い時期に実現することになると確信している。しかし、同交渉は困難を伴うのも事実であり、産業分野での改善、特に非効率な重工業分野での再編が喫緊の課題となっている。また、国内法制度をEUの法制度と整合性のあるものにしなくてはならない作業等も残っており、これらの問題がEU加盟への大きな障害となっている。

  7. 対「ポ」投資の拡大と日本への期待
  8. ポーランドでの改革・変革により、海外から多くの投資がポーランドに流れこんだ。現在、外国投資は200億米ドルに達している。日本からの投資額は少なく、約7,000万米ドル程度であり、今後、日本からの投資が増えてくれることを期待している。


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