アジア通貨・金融危機に関する特別検討会(座長 立石信雄氏)/2月25日
インドネシア経済は、特に以下の3点について深刻な状況である。第1に民間債務処理問題である。740億ドルにのぼる民間債務の処理は急を要し、ラディウス委員会による個別の取組みが開始されている。この国の債務処理の難しさは、かなりの額が種々雑多な企業の債務であり、交渉するにも韓国のようにまとめて行なうのではなく、銀行と企業がそれぞれ個別に交渉をしなければならないことである。
第2の問題は貿易金融についてである。L/Cの開設が困難となっているため、輸出のための部品の輸入のみならず、医薬品や食料品といった生活必需品が不足する状況になっている。この生活必需品の不足こそが第3の問題点である。コメ、鶏肉、卵、ミルク等の食料品や灯油等の価格が高騰し、特に地方における物不足が顕著になっている。このことが現在各地で起こっている暴動の原因にもなっている。
スハルト大統領はこのような深刻な状況を認識しており、一刻も早く国民の苦しみを解消するために、G7からのアドバイスを得たいとしていた。その期待に答えるためにも、われわれはG7蔵相・中央銀行総裁会議前に具体的な対応策を含む報告書をまとめた。その中で、輸銀資金、貿易保険、生活必需品支援等を組み合わせ、できるだけ具体的な形で早急に打ち出すことが必要であると報告したが、それを受ける形で、20日に「東アジア経済安定化等のための緊急対策について」が閣議決定された。