経団連くりっぷ No.74 (1998年3月12日)

行政情報公開に関する打合せ会(司会 立花常務理事)/2月25日

情報公開法案の概要について聞く


96年12月の行革委員会(会長:飯田庸太郎氏)の「情報公開法制の確立に関する意見」を受け、政府は、情報公開法案の準備を進めている。経団連は、行革委員会に対し、2度にわたり意見を提出するなど、経済界の意見の反映を要望してきた。今般、同法案の国会上程にあたり、総務庁情報公開法制定準備室の藤井昭夫室長より法案の概要につき説明を聞くとともに質疑を行なった。藤井室長からは、情報公開法案は、行革委員会の要綱案に沿って条文化しているとの説明があり、あわせて整備法案について下記の説明があった。

  1. 関係法整備法案について
    1. 登記簿や特許原簿等の公証行為として開示されているものや刑事訴訟記録は、情報公開法の適用除外となる。

    2. 著作権法に基づく公表権、複製権等の権利についても、調整が必要である。そこで、情報公開法制定後は、明示的に拒否の意思表示がない限り、行政機関による開示は、著作権法の対象とはしない考えである。

  2. 質 疑
  3. 問:
    法施行前に任意に提供した情報の不開示の取扱いはどうなるのか。
    答:
    任意かつ非公開を条件に提供したことが立証できれば不開示の対象となる。法施行後は、非公開条件を付したことを明確にしておくなど、工夫する必要があろう。

    問:
    請求により開示された情報は、請求者以外にも周知されるのか。
    答:
    制度的には考えていない。重要な情報や多数の要望がある情報は、支障がない限り積極的に情報提供を進めるべきであろう。

    問:
    公益裁量開示の基準を教えてほしい。
    答:
    公益裁量開示は極めて例外的な処分である。なお、法人等に関する情報でも、人の生命、健康、生活又は財産を保護するために特に必要な場合は、義務的に開示される。

    問:
    開示請求に対し、詳細な情報ではなく、概要の開示に止めることは可能か。
    答:
    開示に当たって加工、要約は行なわない。
    あるがままに開示することがこの制度の本質。

    問:
    公取委の審判に関する情報も開示対象か。
    答:
    対象文書ではあるが、審判事務に支障が生じる場合等は不開示となろう。

    問:
    第三者に関する情報の開示請求があった場合、当該第三者には必ず意見照会が行なわれるのか。
    答:
    公益開示の場合は意見聴取の義務があるが、それ以外は、行政機関が意見聴取の必要性について判断する。

    問:
    第三者が開示に反対の意見を表明したにも拘らず、開示を行なう場合は、開示決定から実施までの間、できれば1カ月程度は不開示期間を設けてほしい。
    答:
    ご意見として承っているところであるが、このようなケースの場合、すでに意見が照会され、それをあえて行政機関がその意に反して決定するという事前のやり取りがあることについてご理解願いたい。


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