経団連くりっぷ No.75 (1998年3月26日)

シップリー・ニュージーランド首相歓迎昼食会/3月10日

アジア・太平洋地域の自由化に向けて各国独自の改革を


3月10日、来日中のニュージーランドのシップリー首相を招き、経済6団体の共催による歓迎昼食会を開催した。経団連から那須副会長が参加したほか、各企業・団体からの代表、外務省関係者を含め65名が参加した。以下は昼食会における同首相の発言要旨である。

  1. ニュージーランドの経済改革
  2. シップリー首相 ニュージーランドの対外関係のうち、対日関係は最も成熟した関係のひとつである。両国間には、盤石の相互信頼感と親近感が確立しており、アジア・太平洋地域における関心事や価値観を共有している。
    ニュージーランド経済にとって、アジア・太平洋諸国は不可欠のパートナーであり、共に急成長の利益を分かち合ってきた。
    日本同様、わが国もアジア経済危機の影響を受けており、わが国の運命がいかにアジアの状況と結びついているかを痛感した。
    昨年来わが国は、主にIMFやAPEC等を通じて各国への援助に積極的に取り組んでいる。
    過去14年間、ニュージーランドは経済困難から脱却するために改革を実施し、その報酬がいかに大きいかを知った。改革に向けての国民的合意の形成は、どの国も直面する共通の難問である。わが国の場合、1984年の為替危機によって、経済構造上の弱点が明らかになったため、改革への支持を国民から得ることができた。そして政府は、改革をあらゆる部門で実施することで、行政コストの削減および市場開放に成功した。
    特に経済面では、92年までに輸入数量制限を撤廃し、関税も全廃に向けて努力している。その結果として、わが国の経済成長は連続6年目を迎えている。今後ともシップリー政権は、エネルギー供給、流通等の社会基盤の効率化に重点を置いて改革を続行する方針である。

  3. 多角的枠組みの中での日本との協力
  4. わが国と日本との間には、競争を制限する規制や制度がいまだに残っている。この種の措置は日本の消費者や貿易相手国にとって大きな負担であり、これらの見直しおよび効率化を強く求めたい。
    99年、ニュージーランドはAPEC議長国となる。APECやWTOの枠組みの中で、多角的貿易体制の強化、各国の自由化促進に向けたリーダーシップを発揮することは、わが国に課せられた使命である。
    過去半年間の混乱から学んだのは、私たちが互いに複雑に結びついているということである。各国の政策、および経済情勢は国境を越えて影響を及ぼしている。わが国にとって、外国との貿易、投資ならびに人的交流の拡大を図ることは今後ますます重要であり、とりわけ日本との協力を最も重視すべきである。


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