経団連くりっぷ No.75 (1998年3月26日)

企業行動憲章部会(部会長 小野敏夫氏)/3月4日

多くの日本の財界人に出席してほしい
─企業倫理についてコー円卓会議首脳と懇談


企業行動委員会企業行動憲章部会(部会長:小野敏夫日本電気専務取締役)では、企業倫理について検討しているコー円卓会議(本部:スイス、コー)の首脳を招き、円卓会議の最近の活動について説明を聞くとともに、経団連の企業倫理への取組みを説明し、意見交換を行なった。席上、コー側より、日本でも不祥事が相次ぎ企業倫理への関心が高まっている折、今年7月の円卓会議には、ぜひ多数の財界人に出席してほしいとの要請があった。

  1. ワーレン議長(メデトロニック社社長)説明要旨
    ─円卓会議の主要活動対象─
  2. 現在のコー円卓会議の主要な活動対象は、企業倫理の確立、先進国と発展途上国との間の格差是正、環境問題解決への貢献の3つである。
    中でも企業倫理は、ビジネスのグローバル化に伴い、数年前と比べてもますます重要になっている。円卓会議では、94年に発表した「企業の行動指針」に基づき、世界で責任ある企業行動を促進すべく活動を展開している。また、こうした指針は実践されなくては意味がないため、何千部ものコピーを関係者に配布しており、その結果、企業の行動指針としては最も普及したもののひとつとなっている。

  3. タランティーノ運営委員(プライスウォーターハウス社会長)説明要旨
    1. 市民社会の基本的価値としての倫理
    2. 企業倫理を提唱することは、常に歓迎されるわけではない。一部には、われわれのようなグループを「道徳的絶対主義者」と呼び、企業行動の違いを文化の違いで説明しようとする人もいる。しかしわれわれは、人間の尊厳の尊重、誠実さ、寛容さ等は、すべての文化に共通すると価値だと信ずる。これらは市民社会の基本的価値である。

    3. 企業行動指針の事例
      ─倫理的な調達活動に関する基準
    4. 近年、企業不祥事を防止すべく多くの責任あるグローバル企業は企業行動に関する指針を策定している。例えばエーボン化粧品やトイザラス社は「Social Accounting 8000」に署名した。これは倫理的な調達活動に関する基準であり、労働組合の権利、児童労働、安全基準、公正な賃金等についても規定を設けている。またリーバイ・ストラウス社やナイキ社では、調達に関する世界的ガイドラインを策定し、新興市場におけるビジネス・パートナーやサプライヤーの選定に利用している。

  4. 小笠原 日本運営委員(ニフコ社長、ジャパン・タイムス会長)、
    賀来 同 委員(キャノン名誉会長)発言要旨
  5. 最近日本でも企業倫理に対する関心が高まっているが、日米欧の財界人が集まって企業倫理問題を専門的に検討する場はコー円卓会議の他に例がなく、大変貴重な経験になると思う。本年7月の円卓会議には、ぜひ、多数の日本の財界人に出席していただきたい。


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