経団連くりっぷ No.76 (1998年4月9日)

流通委員会・企画部会合同会合(委員長 鈴木敏文氏)/3月20日

大店法の廃止と新たな大店規制の枠組み


今通常国会において、大店法廃止とそれに替わる新たな大店立地法の制定および都市計画法の改正のための所要の法案が提出され、それぞれ立法手続が進められている。そこで、経団連流通委員会および同企画部会(部会長:二木英徳氏)は、通商産業省の岩田満泰商務流通審議官から、新たな大店規制の枠組みについて説明を聞くとともに意見交換した。

  1. 岩田商務流通審議官説明概要
  2. 昨年末、産構審・中政審の合同会議から都市計画法によるゾーニング規制の拡充と、大店法の廃止およびそれに替わる大店立地法の策定が提案された。この提案に基づき、今通常国会で、(1)都市計画法の改正と(2)大店立地法策定のための立法手続が進められている。

    1. 都市計画法の改正
    2. 規制の第1の柱は、ゾーニング規制である。現行都市計画体系では、法令で定められている11種類に限り特別用途地区を指定することができるが、地域ごとの土地利用に関する個別具体的な需要に対応するため、地方公共団体ごとに特別用途地区の内容を自由に決定できるよう、都市計画法を改正することとした。

    3. 大店立地法の枠組み
    4. 規制の第2の柱は大店立地法の制定である。従来から、大店の出店に伴う交通渋滞、騒音、廃棄物等の社会的問題の発生が指摘されてきたが、現行の大店法の枠組みの中ではこれらの問題に関する規制の仕組みが必ずしも十分ではなかった。昨年総理府が実施した世論調査でも、大店は消費者の利便に資するという評価の一方で、「何らかの規制が必要」という意見が60%を超えた。
      そこで、大店立地法によって、地方公共団体自身がこれらの問題への個別具体的な対応を図るための仕組みを提供することとした。具体的には都道府県と政令指定都市が規制の運用主体となる。出店に伴う届出とそれ以降の調整が、できるだけ透明な環境で行なわれるよう手続を整えている。
      大店法については、WTOルールの成立もあり、需給調整中心の規制手法への批判があった。新しい大店立地法においても、地方公共団体が地域ごとの需給状況を勘案した運用を行なわないよう規定している。

  3. 意見交換
  4. 経団連側:
    大店法の廃止という決定は評価すべきであるが、なぜ、新たに大店立地法を制定して、大店のみをターゲットとする規制枠組みを設ける必要があるのか。近代的ショッピングセンターを開発し消費者のニーズに応えようとする事業者の努力を否定するものとならないか。

    岩田商務流通審議官:
    外国政府からも大店立地法については、表面上は問題ないようだが運用を注視する、と言われた。運用の指針を1年かけて策定する予定である。ただ、大店が地域社会に経済的にも社会的にも大きな影響を与える存在であるということは踏まえなければならない。


くりっぷ No.76 目次日本語のホームページ