経団連くりっぷ No.77 (1998年4月23日)

フィリペ・スペイン皇太子との懇談会/3月25日

通貨統合参加と日本市場でのビジネス・チャンス拡大への期待


経団連では3月20日から27日にかけ公賓として来日したスペインのフィリペ皇太子を招き、豊田会長はじめ経団連幹部と懇談会を開催した。フィリペ皇太子ならびに随行のラト蔵相からは、好調なスペイン経済の現状と通貨統合第一陣への参加に向けての抱負ならびにアジア、特に日本との経済関係強化への期待等について説明を受けた。以下はフィリペ皇太子の説明要旨である。

フィリペ皇太子

  1. 通貨統合第一陣加盟について
  2. スペインは、全貿易の30%強を仏、独両市場に依存し、経済的絆も強い。また、スペイン政府としても通貨統合第一陣への参加を強く希望してきた。このため2年間に渡り、収斂基準を満たすため緊縮財政導入および社会・経済構造改革等の努力を行なってきた。その結果、スペイン経済は変貌し、現在、大変好調である。特に経済成長率は著しく、年3.4%近い成長率を記録するまでになっている。
    また、政府の緊縮財政政策により財政赤字をGDPの2.6%にまで抑制し、収斂基準の数値条件を十分に満たしている。さらにインフレ率も、本年は2%台にまで収束している。
    これらの状況から判断してスペインは何の問題もなく通貨統合の第一陣に参加予定11カ国の一員となっている。

  3. 自由・開放市場に向けて
  4. スペインは人口約4,000万人を有し、南部ヨーロッパでは魅力的な市場を提供している。また、スペインはEU加盟国で、加盟国の中でも特にフランスおよびドイツとの結びつきが強い。また、ラテン・アメリカとの結びつきも強く、「暗黒の80年代」と言われたラテン・アメリカ経済低迷時期においても、積極的に同地域への投資を行なってきた。こうした協力の結果、欧州とラテン・アメリカとのゆるぎない信頼関係構築の一翼を担うまでになってきており、現在の同地域の経済発展・好況を反映しスペイン企業も大変好調である。

  5. 対日輸出拡大と日本への期待
  6. スペインはアジアにおいては日本を最良のパートナーとしてみている。対日貿易積極策「プラン・ハポン」の一環として世界のどの国にも先駆け「スペイン月間」を日本で開催し、スペイン製品の紹介を行なう予定である。スペイン製品は品質、デザイン面で国際的には高い評価を得ているにも拘わらず、日本で知られていないのは大変残念なことであり、今後、対日本市場に向けのスペイン製品の輸出が増えてくれることを期待している。


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