経団連くりっぷ No.78 (1998年5月14日)

経団連提言/4月21日

「流通分野における一層の規制緩和を要望する」を取りまとめ


流通委員会(委員長:鈴木敏文氏)は、かねてより流通分野における規制緩和、なかでも大店法の廃止を積極的に働きかけてきた。今般、大店法を廃止し、新たに大店立地法を制定するという流通政策の転換があったこと、そして本年3月末に新しい規制緩和推進3カ年計画が策定されたこと等に伴い、改めて流通分野における規制緩和の一層の推進を求めることとした。以下は提言の概要である。

  1. 総論
    1. 流通分野の規制緩和の現況と経団連の対応
      1995年に規制緩和推進計画が策定されて以来、規制緩和は大幅に進展し、流通分野においても、米穀小売業の自由化等、着実に規制緩和が実現してきた。しかし、需給調整条項を中心にいまだ実現していない規制緩和も多い。
      経団連はこの間、10回にわたって流通分野における規制緩和策を取りまとめてきたが、本要望書は新計画の下での実現を期して重点課題を取りまとめた。

    2. 今回の要望書の基本的な構成
      本要望書では、国による規制の緩和要望に加え、新たに地方公共団体による規制の緩和要望も取りまとめた。

    3. 転機を迎える流通行政についての考え方
      従来の大店法を中心とした流通政策は、流通業の構造変化に対応しきれず、むしろ、構造変化に伴う摩擦を深刻なものとした面が大きい。また大店法は対日進出を目指す外資系流通事業者にとっても深刻な投資障壁となっており、WTOルールに抵触するとの指摘もある。このような状況において、経済的規制の象徴であった大店法廃止の決定は、規制緩和の進展を内外に示すものであり、わが国の行政改革の歴史の中で特記すべき第一歩であろう。
      一方、大店法に替わる制度として今国会に提案されている大店立地法制定ならびに都市計画法改正については、自治体によっては大店法以上に厳しい大規模店舗の出店規制が行なわれる惧れも指摘されている。したがって新制度が成立した場合は、関連する「指針」策定や運用に当たって、こうした懸念を払拭することが期待される。
      なお、大規模小売事業者としても、大店立地法案の目的に示されているように、従前にも増して交通渋滞、駐車・駐輪問題、騒音、廃棄物等の対策に積極的に取り組む必要がある。

  2. 各論
    1. 国による規制の緩和要望
      酒類小売業免許や医薬品販売業免許等に関する規制の撤廃・緩和等、25項目を要望。

    2. 地方公共団体による規制の緩和要望
      食品衛生法に関する営業許可基準や手続等の規制の撤廃・緩和等、14項目を要望。


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