経団連くりっぷ No.78 (1998年5月14日)

スカルファロ・イタリア共和国大統領歓迎昼食会/4月14日

日伊のパートナーシップとさらなる経済協力関係の強化を期待


経団連、日本商工会議所、日経連、経済同友会、日本貿易会の経済5団体では、国賓として来日したイタリア共和国スカルファロ大統領を歓迎し、昼食会を開催した。以下はスカルファロ大統領の挨拶要旨である。

スカルファロ大統領

  1. ユーロ導入と伊マクロ経済の安定
  2. 欧州単一通貨ユーロの導入はEU諸国だけではなく、国際市場にも多くの恩恵をもたらす。イタリア政府としても通貨統合第一陣への参加を強く希望してきた。このため数年間にわたり、マクロ経済の不均衡是正とマーストリヒト収斂基準を満たすため緊縮財政導入および社会・経済構造改革等の努力を行なってきた。その結果、イタリア経済は変貌し、現在、大変好調である。イタリア企業はしっかりとした国内のファンダメンタルズを基盤にさらなる発展を遂げ、ユーロの特典を十分に享受することになろう。

  3. アジア金融危機について
  4. 昨年来、東アジアおよび東南アジア諸国を襲った深刻な金融・経済危機に対する日本政府の積極的な関与を高く評価している。今後、日本政府はASEM、APEC等の場を通じて日本と他のアジア諸国の共栄および相互信頼関係を高める意志があることを示すとともに、窮地にある各国政府への確固たる支援策があることを明きらかにすることが重要である。

  5. 日伊の経済協力関係強化について
  6. 政治家として半世紀にわたり、政治の側面から経済をみてきた。日本とイタリアは同様の経済復興の歴史を共有している。日伊両国は第二次大戦の破滅から復興し、経済大国として今日の地位を築くことに成功した。
    また、日伊両国民の忍耐強さ、教育レベルの高さ、勤勉さが、天然資源に乏しい両国の国土を生産性の高いものにすることを可能にした。現在、両国の経済交流は拡大の方向にあり、官民の良好な関係も手伝って有望な時期にさしかかっている。
    今後、双方のさらなる努力により関税・非関税障壁が撤廃され、自由貿易の基礎が早期に確立されることを期待している。
    また、日伊の協力拡大の余地は多く残されており、日本の財政構造改革および規制緩和が着実に行なわれれば、両国の経済・貿易関係の改善、進展につながるものと確信している。


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