経団連くりっぷ No.78 (1998年5月14日)

第7回日本ブラジル経済合同委員会第2回代表団打合せ会・結団式(団長 室伏 稔氏)/4月23日

国民の強い支持を受けるカルドーゾ政権


5月6、7日にサンパウロで開催予定の第7回日本ブラジル経済合同委員会に向けた第2回代表団打合せ会・結団式を開催し、ヘイス駐日ブラジル大使より最近のブラジルの政治・経済情勢および日伯関係について説明を聞いた。ヘイス大使は、経団連のアンケート調査で指摘されたビザ発給の問題について改善の意向を表明するとともに、今回の合同委員会が日本側の参加者にとってブラジルの大きな変化を確認する絶好の機会となることを強調した。

  1. ビザ問題への対応
  2. 第7回日本ブラジル経済合同委員会には、日本の産業界を代表する多数の方が参加されると聞き、嬉しく思う。また同会議に先立ち、経団連が主な会員企業を対象に実施した日伯経済関係に関するアンケート調査結果を通じ、会議に対する日本企業の期待を知ることができ有益であった。そのなかで指摘されたビザ発給の問題については、相互主義に基づき有効期限を現在の90日から5年に延長すべく関係者との折衝を開始した。

  3. カルドーゾ政権への強い支持
  4. 今回の合同委員会は、ブラジルの政治状況を観察する上でまたとない時期に開催される。大統領、上下院議員、州知事、市長が改選される10月の総選挙に向けて、政府、各政党、世論調査などにより全国規模で政治的決算が行なわれている最中であろう。カルドーゾ政権の推し進めてきた経済政策による恩恵は、反対勢力ですら認めざるを得ない。昨年10〜11月のアジア危機に際しても、政府の迅速な対応により事無きを得、国民の現政権への支持を強固なものとした。危機はブラジルの改革を加速し、行政改革と社会保障制度改革に関する憲法改正案の議会審議に大きな進展が見られた。

  5. レアル・プランの成果
  6. 現政権への国民の強固な支持の背景には、レアル・プランの成功がある。何よりも、インフレ率が94〜98年の間に1,000%から3〜4%まで下がった。GDPは97年まで5年連続で年率3.5%前後の成長を遂げ約8,000億ドルに達した。産業面では輸出品目に占める工業製品の割合が96〜97年の間に10.5%ポイント上昇した。開放政策により輸入も増加したが、生産性の向上と政府の輸出振興策により、貿易赤字は減少すると予想される。電力・通信などの民営化により、今後2〜3年間に500〜600億ドルの外資が流入するものとみられる。通貨レアルをドルに対し微調整する為替政策が今後も維持されよう。

  7. 日伯協力の重要性
  8. 近年、日伯間の貿易・投資が拡大しているが、今後の協力の拡大の余地は非常に大きい。日本もブラジルも大きな変革期にある。両国は互いに助け合うことにより、双方の改革プロセスを速めることができよう。


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