産業技術委員会知的財産問題部会(部会長 丸島儀一氏)/4月16日
産業構造審議会に知的財産政策部会と情報産業政策部会基本問題小委員会のデジタルコンテンツに関する合同会議が設けられ、データベースの法的保護のあり方について検討が進められており、知的財産問題部会(部会長:丸島儀一キャノン専務取締役)も3月23日に部会意見を提出した。今般、通産省から標記テーマについて意見交換の申し出があり、板東知的財産政策室長および安延情報処理振興課長から関連論点等について説明を聞くとともに懇談した。
パソコン、インターネット、CD-ROM等の普及により、データベース関連産業はこの10年間で約2倍の成長を遂げた。一方、デジタル・ネットワーク技術の進展によって、データベースの素材の加工・複製、伝送が容易になり、多くの時間とコストをかけて作成したデータベースの第三者による不正利用の惧れが高まってきている。
日本では、素材の選択や配列に創作性を有するデータベースは著作物として保護されるが、著作物とならないデータベースについての不正利用を防ぐために、どのような法的保護が必要であるのかが検討されている。WIPO(世界知的所有権機関)では、データベースの法的保護に関する条約の必要性も含めて検討が緒についたところである。
規整の検討にあたってはデータベースの作成・提供に要する投資の保護とデータベースの円滑な利用促進という2つの要請のバランスを取る必要がある。
規整対象としては(1)抽出(アクセスと自己利用)、(2)再利用が考えられる。抽出については、契約外の場合は債務不履行、無許諾の場合は不法行為と捉えることによって法的救済も可能になるとの考え方もあるが、学説が分かれており、現行法上明確になっていない。無許諾の再利用についても、現行法では損害賠償や差止め等の法的救済が与えられるとは限らない。
保護の対象者を作成にあたっての投資等の利益が侵害される者、提供者、実際に営業上の利益を害される者等のいずれにすべきか、さらに検討が必要である。法形態についても、データベースに関する排他的権利を付与する形をとるか、特定の不正利用行為を規制する形をとるか議論が分かれている。