経団連くりっぷ No.79 (1998年5月28日)

シラク仏大統領一行との懇談会/4月27日

日本経済の将来を信頼、日仏経済交流のさらなる強化を期待


経団連では4月23日から29日にかけ「日本におけるフランス年」の開催行事に出席するために来日したフランスのシラク大統領一行(ベドリーヌ外相、ル・パンセック農相他閣僚、仏経済人他)を招き、豊田会長はじめ経団連各企業幹部と懇談会を開催した。シラク大統領からは、欧州通貨・経済統合に向けての抱負、アジア金融危機問題、日仏経済関係強化への期待等広範囲な事項について説明を受けた。以下はシラク大統領の説明要旨である。

シラク仏大統領

  1. ユーロ導入について
  2. フランス政府はドイツ政府と協力して通貨統合を積極的に推進してきた。このため、EU各国はマーストリヒト収斂基準を満たすため緊縮財政導入等の努力を行なってきた。その結果、11カ国が単一通貨に参加することになり、来年1月1日には、欧州は人口約3憶5,000万人を有する、世界で最も魅力的で最大級の単一市場を提供することになる。また、EUの拡大に伴い、同市場は5億人の人口を数えることになり、欧州企業の活躍の場は拡大し、成長と雇用に活力を与えるであろう。

  3. 日仏関係強化への期待
  4. フランスはアジアにおいて日本を最良のパートナーとしてみている。対日貿易積極策「ル・ジャポン・セ・ポシブル(日本は可能である)」および日仏双方向の交流強化策「フランスにおける日本年」、「日本におけるフランス年」を開催する等、文化紹介、貿易、投資を通じて2国間の交流を活性化するよう努力してきている。フランス製品および農産物は品質が高く、今後、対日本市場に向けのフランス製品、農作物の輸出が一層増えてくれることを期待している。また、現在350社の仏企業が対日進出しており、規制緩和が実施、開放され一層の進展も期待されている。

  5. アジア経済・金融危機について
  6. 昨年来、アジア諸国を襲った深刻な金融・経済危機に対する日本政府の積極的な関与を高く評価する。日本は世界第2位の経済大国で、最大の債権国でもある等、アジアでの危機を巡りいくつもの強い政治的・経済的切り札を手にしている。これを梃子にアジア諸国および先進国諸国との信頼関係を再構築するとともに国内経済の再生に努めてもらいたい。日本経済の回復はアジアをはじめ国際経済にとって不可欠であり、私自身、日本の景気回復を確信している。今後、日本および先進国は協力し、ASEM、APEC等の場を通じてアジア諸国への確固たる責任と連帯の義務があることを明きらかにするとともに日仏共同で国際金融体制強化策を講じることが重要である。


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