経団連くりっぷ No.79 (1998年5月28日)

輸送委員会(委員長 濱中昭一郎氏)/4月23日

運輸分野における規制緩和の取組みについて


輸送委員会では、運輸省大臣官房の和田総務審議官を招き、規制緩和の推進を中心に、運輸行政をめぐる最近の動きや今後の課題について、説明を聞くとともに懇談を行なった。また当日は、本年3月に、物流部会・企画部会合同で派遣した「アジア主要港湾に関する調査団」の調査結果についても、同調査団の秋山団長(日本通運経営企画部総括部長)から報告を聞いた。

  1. 和田総務審議官説明要旨
  2. これまでの規制緩和推進計画は1997年度が最終年度であったことから、政府は、本年3月末に、1998年度を初年度とする新たな規制緩和推進3か年計画を策定した。
    運輸省では、これに先立ち、96年12月末に、あらゆる運輸分野について需給調整規制を原則として廃止する方針を打ち出している。需給調整規制の廃止に踏み切った理由は、国際的な大競争時代を踏まえて、市場原理を導入して競争を促すことによって、経済社会の発展を目指す必要があると判断したためである。規制を緩和すると、運賃が上昇する、失業者が増える、賃金が低下するといった批判もあるが、そのようなデメリットを超えたメリットがあると考える。生活路線の維持や寡占化の防止など、消費者や弱者等に配慮するさまざまな環境整備を行ないながら、運輸省として引き続き規制緩和に取り組んでいきたい。
    新たな規制緩和推進3か年計画では、主な事項として、トラック事業の営業区域の拡大(98年度実施)、自動車検査証の有効期間の見直し(98年度に具体的な結論を得て、実施)、内航海運業における船腹調整事業の解消(一定期間を限って内航海運暫定措置事業を導入することにより98年度早期に実施)、港湾運送事業にかかる規制の見直し(98年度に運輸政策審議会に諮問し、99年度早期に答申を得る)、強制水先の必要な船舶の範囲の引き上げ(神戸港について98年7月に実施、他の強制水先区については98年度以降に実施)を盛り込んだ。また、従来からの計画通り、輸出入・港湾諸手続きを簡素化・情報化(99年度実施)する。さらに需給調整規制については、廃止に伴い必要となる環境整備方策について、運輸政策審議会から98年6月までに答申を得て、モード別に順次廃止していく。国内航空運送事業・貸切バス・旅客鉄道事業については99年度に、乗合バス・タクシー・国内旅客船事業については遅くとも2001年度までにそれぞれ廃止することとしている。

  3. 懇談
  4. 経団連側から、わが国における高コスト構造の是正の観点から、国際的に非常に高い水準になっている、着陸料や航行援助施設利用料などの航空事業に係わる公租公課を引き下げるべきとの発言が出された。


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