経団連くりっぷ No.81 (1998年6月25日)

日本ミャンマー経済委員会(委員長 鳥海 巖氏)/5月21日、22日

第2回日本ミャンマー合同経済会議を開催


日本ミャンマー経済委員会では、先月21日、22日の両日にわたってヤンゴンにおいて第2回日本ミャンマー合同経済会議を開催した。昨年の第1回会議と同様、エーベルSPDC(国家平和開発評議会)議長府付大臣と鳥海委員長が共同議長を務めるなか、ミャンマーの経済発展ならびに日本ミャンマーの経済関係の方策などをめぐり意見交換を行なった。また、日本側は、合同会議終了後、キン・ニュン第一書記、マウン・マウン・キン副首相、ウー・キン・マウン・ティン大蔵大臣、マウン・マウンSPDC議長府付大臣を表敬訪問するとともに、ヤンゴン近郊の工業団地を視察した。


第2回日本ミャンマー合同経済会議 団長所見

1998年6月
経団連 日本ミャンマー経済委員会
委員長 鳥海 巖


鳥海委員長
  1. 第2回日本ミャンマー合同経済会議は、5月21日(木)〜22日(金)ミャンマーの首都ヤンゴンで、エーベルSPDC(国家平和開発評議会)議長府付大臣と私(鳥海日本ミャンマー経済委員会委員長)の共同議長のもと、日本側から51名、ミャンマー側から44名が参加して行なわれた。
    表敬訪問では、キン・ニュン第一書記、マウン・マウン・キン副首相、ウー・キン・マウン・ティン大蔵大臣、マウン・マウンSPDC議長府付大臣と面会し意見交換を行なうとともに、工場見学では、ミンガラドン工業団地、その敷地内にある味の素の工場、ならびにラインタヤ工業団地にある靴工場を視察した。また、22日夜に開催された経団連主催の夕食会には、エーベル大臣のみならず、マウン・マウン・キン副首相、ウー・タン・シュエ国防大臣、ウー・キン・マウン・ティン大蔵大臣、エルン・ティン・エネルギー大臣、オン・ミン鉱山大臣、ウー・ソー・ター国家計画経済開発大臣など多くの政府要人が出席し、リラックスした雰囲気のもと日本側参加者と自由な意見交換が行なわれた。

  2. 本合同会議は、ミャンマーが昨年ASEANへの加盟を果たし、国際的地位を高めつつある中、また、昨年7月にタイから始まったアジア通貨・金融危機の影響が懸念されている最中に行なわれたことに大きな意味があった。

  3. 会議では、まず、ミャンマー側参加者から、アジア通貨・金融危機の影響を踏まえ、ミャンマー経済の現状と展望について説明があった。その後、日本・ミャンマー経済関係の現状と課題というテーマのもと、対ミャンマー投資、日本−ミャンマー貿易、およびミャンマーの金融システムについて話し合い、ミャンマーの人材育成についても意見交換を行なった。

  4. 日本側からは、事前に日本ミャンマー経済委員会のメンバーを対象に実施したアンケート調査の結果をもとに、輸入規制や送金規制など、ミャンマーの投資・貿易環境に関する具体的問題点を率直に指摘するとともに、

    1. インフラの整備、
    2. 二重為替の一本化、
    3. 情報の公開ならびに政策の透明性の向上、
    の3点を求めた。

  5. ミャンマー側からは、日本への輸出促進のために、セミナーの開催、両国間貿易検討部会の設置、食品加工分野における技術移転策の検討および人材育成に関する協力関係の強化にかんし提案があった。

  6. 会議の参加者は、ミャンマー経済の今後の課題について、引き続き投資環境の改善が必要である一方、今回のアジア経済危機を教訓として、国の安定と発展を目指しマクロ・コントロールが重要であるとの認識を持った。とくに、ミャンマーの重要部門である農業の開発を優先的に進めることを通じて食糧の充分な自給自足体制の確立を急ぐとともに、石油・ガス・鉱業・林業など豊富な天然資源開発で外貨獲得を図り、電力などインフラの整備で外資導入を促進するなど着実な政策を推進していくことの重要性が双方から強調された。

  7. さらに、日本側は、ヤンゴン国際空港向けのODAが部分的に再開されたことに言及し、ミャンマー政府がこれをポシティブなシグナルとして受け止め、諸課題に取組むことにより、ODAの全面的再開および両国経済関係の拡大に努めることを求めた。

  8. 人材育成の分野においても、今後引き続き日本とミャンマーとの協力の可能性を検討していくことが確認された。

  9. キン・ニュン第一書記は、「日本とミャンマーとの間には、政治的な課題があるが、われわれは日本の経済人がミャンマーに来て成功してもらいたいと常に考えている。ミャンマーを信じてもらいたい。」と述べ、日本とミャンマーの経済関係を拡大する上で当合同会議が果たす役割への強い期待を表明した。

  10. この度の合同会議で指摘された、貿易、投資、人材育成等に関する問題については、来年の会議に向け精力的にフォローし、日本とミャンマーの経済関係の拡大に役立てていきたい。


キン・ニュン第一書記(右)と鳥海委員長(左)


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