産業技術委員会政策部会(部会長 武田康嗣氏)/5月28日
産業技術委員会では、かねてより21世紀に相応しい科学技術推進体制につき検討を行ない、昨年には、科学技術関係の中央省庁再編と総合科学技術会議のあり方について提言し、関係方面に働きかけてきた。そこで、科学技術庁の間宮審議官から、今般の行政改革の動きと、同庁科学技術振興局が開催した検討会(座長:西島安則 元京都大学総長)が、本年3月にとりまとめた「夢と戦略のある研究開発システムをめざして」につき説明を聞き、懇談した。
行政改革会議最終報告では、現在約90ある国立試験研究機関(以下国研)について、類似・小規模なもの等を原則統廃合するとともに、国として重要かつ総合的に取り組む必要のある研究分野や広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な研究機関を育成するとされている。そのため、国研の独立行政法人化について具体的な検討を進める旨が盛り込まれている。
現在、国研では、任期制の導入や競争的資金の拡充等具体的な施策が行なわれている。一方、国研の問題点として、省庁毎の縦割りによる制約(業務の細分化と小規模化、総合的な課題に対する一体的な取組みが不十分等)と、国の直轄組織であることによる制約(一般事務と同様の予算会計制度等)が指摘されている。
これらの問題点を解決していくため、従来組織の枠を超えて国研の能力を結集し、社会変化に応じて柔軟かつ機動的に研究開発を実施できる体制の構築、資金・人員の流動性、柔軟性の向上が不可欠である。
本報告書の基本的視点は、夢を拓き、戦略的に取り組むこと、インセンティブと競争的環境を作り出すこと、ブレイクスルーを目指すこと、スピードと国際競争力をつけることなどである。そのような視点のもと、新たに自立的なトップマネジメントによる透明性の高い開放的な中核的研究所群を形成することが必要である。具体的な役割としては、近い将来さまざまな分野で大きな応用の可能性を持つ基礎的先端的研究と、日本と人類が直面するグローバルな課題に向けた総合的長期的研究が緊要である。