経団連くりっぷ No.81 (1998年6月25日)

今後の日米協力を考える部会(進行 藤原常務理事)/5月27日

日米首脳会談の模様について聞く


先月15日に開催された日米首脳会談では、規制緩和、電子商取引に関する共同声明を公表するとともに、日米間の諸課題につき意見交換が行なわれた。今後の日米協力を考える部会では、外務省北米局の羽田浩二北米第二課長より、同会談の模様等につき説明を聞いた。以下は羽田課長の説明概要である。

  1. 日米関係を取り巻く状況
  2. 円安、日本経済の低迷を背景に、今後対日貿易赤字の大幅な増加が予想される。米国経済の推移次第では、今秋の中間選挙を控え、政治問題化する惧れもある。
    また、アジア金融・通貨危機への対応もあり、4月24日の総合経済対策発表までは、米政府の一部から、財政出動を伴う景気対策、金融システム安定化、規制緩和・構造改革等を求める声が聞かれたところである。

  3. 首脳会談の経済部分の概要
  4. 日本経済については、総理から98年度予算と総合経済対策等につき説明があり、クリントン大統領は経済対策を歓迎するとともに日本の景気回復への期待と、金融改革への取組みに対する評価を表明した。
    規制緩和の共同現状報告は、97年6月の首脳会談での「強化されたイニシアチブ」合意に基づく作業の成果で、3月31日の「規制緩和推進3ヶ年計画」策定後も米側要望にも耳を傾けながら検討を続け、取りまとめたものである。焦点となった事項は以下の通りである。

    1. 電気通信の相互接続料金に関して求められていた長期増分費用方式の早期導入については、原則2000年春の通常国会に提出し、さらに所要条件を満たせば2000年内に導入を実施すること等を記した。

    2. 大店法については、これに代わる大店立地法下での地方自治体の規制強化に対する懸念が表明され、立地法運用に係るガイドライン作成過程における透明性の確保等が要望された。政府としては、意見があればいつでも聞く用意があることとした。

    3. 医療保険改革における薬価の参照価格制導入に関しては、革新的な医薬品の重要性を認識するとともに、内外製造業者の意見表明機会を確保することとした。

    4. このほか、2×4住宅建材の試験方法の承認、公正取引委員会の活動の強化、エネルギー分野における規制緩和策検討開始等を盛り込んだ。さらに今回は、対話の双方向性原則に基づき、20数項目の対米要望を盛り込み、総理からも米側の進展の遅れに遺憾の意を表明したところである。


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