経団連くりっぷ No.82 (1998年7月9日)

日本メキシコ経済委員会(委員長 川本信彦氏)/6月17日

2001年よりマキラドーラ新制度に移行

−ブランコ メキシコ商工振興大臣と懇談


日本企業の投資誘致のために来日したブランコ商工振興大臣ならびにゴンサレス・サダ メキシコ日本経済委員長を迎え、最近のメキシコの経済情勢などをめぐり懇談した。ブランコ大臣は、メキシコのビジネス環境が大変良好であることを強調し、日本企業、特にサポーティング・インダストリーの投資に対する期待を表明した。

  1. ブランコ大臣講演要旨
    1. サポーティング・インダストリー誘致への期待
    2. 94年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)に加え、メキシコは中南米の国々との間の自由貿易協定を推進している。また本年秋からEUとも同様の交渉を開始する予定であり、日本企業にとってもメキシコ市場の魅力がさらに高まる。
      特にエレクトロニクス、自動車などのサポーティング・インダストリーの誘致は、産業競争力の強化につながるものであり、政府としても力を入れている。今後、両国経済界の間でも具体的な方策について検討されることを期待する。

    3. 輸出と投資が好調
    4. メキシコは94年末に経済危機に見舞われたが、長年にわたる構造改革の効果と適切なマクロ経済政策運営により、95年7月以降回復基調に転じ、97年の成長率は7%に達した。アジア経済危機等に伴う石油輸出価格の低下の影響もあり、98年の経済成長率は5%弱、インフレ率は12%程度と予測される。
      NAFTA効果により輸出が大きく伸び、98年には1,200億ドルに達する見込みである。外国からの直接投資も年平均110億ドルにまで増加し、エマージング・マーケットでは中国に次ぐ投資受入国となっている。

    5. マキラドーラの将来
    6. 2001年以降、マキラドーラの関税割戻し制度が廃止される。政府はマキラドーラが雇用創出などに果たす役割を重視し、進出日系企業等と対策を協議してきた。NAFTA域内で調達できない部品については関税を廃止し、その他の部品についても米国並みに関税率を引き下げる方向で検討している。本年後半には関税廃止の対象となる部品を公表し、日系企業の今後の投資計画に支障を来さないようにしたい。

  2. ゴンサレス・サダ委員長講演要旨
  3. メキシコでは、経営者、労働者、政府ともにグローバル化と競争力強化を志向している。1億人の人口と4,000億ドルのGDPは、メキシコへの投資を検討する上で重要な要素である。質の高い労働力、有能な経営者、生産性や品質面での改善、経済自由化の進展、政治面での民主化・透明化などを背景に、内外の投資家のコンフィデンスが高まり、97年の投資は実質ベースで前年比21%増加した。


くりっぷ No.82 目次日本語のホームページ