経団連くりっぷ No.83 (1998年7月23日)

PFI推進部会(部会長 鈴木誠之氏)/7月10日

PFIの推進に向けた課題についてJAPICと懇談


いわゆるPFI推進法案が国会に提出されたことを受け、経団連では、国土・住宅政策委員会内にPFI推進部会を設置し、日本版PFIの推進に向け、解決すべき課題や環境整備等に関する検討を進めることになった。そこで、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の有村専務理事を招いて本部会の第1回会合を開催し、同協議会が先般とりまとめた「次世代民活事業に関する中間報告書」について説明を聞くとともに、意見交換を行なった。

  1. JAPIC有村専務理事説明要旨
    1. PFIの推進にあたっては、官民の役割分担や責任分担を事前に明確化していくことが必要であるほか、効率的な経営を行なう観点から事業経営は民間主導で行なうこと、また、金融手段として、プロジェクト・ファイナンスを活用することが重要である。

    2. PFIを行なうにあたっては、まず、公共側が、PFIにふさわしい事業分野を選出することが重要である。
      イギリスでは、公共側が必要な社会資本整備事業を決定した後、従来型の公共事業の手法とPFIの手法のどちらを採用するかを判断する際に、VFM(Value for Money)の考え方で評価を行なっており、わが国でも参考とすべきである。しかしながら、VFMの考え方を強調しすぎるとPFIが進まないことにも配慮すべきである。

    3. 公共と民間との間のリスク分担について、とりわけ、用地リスクは、イギリスやオーストラリアの例をみても、公共側が全面的に責任を負うべきである。需要予測リスクは、需要が安定しているプロジェクトか否かで事業手法を変えるなど、公共と民間との間で適切なリスク分担を行なうことが重要である。

    4. PFIの推進にあたって、行政財産の使用を制限している国有財産法等の関連法制の改正が必要である。社会資本整備に関して民間の事業参入を規制した法令は数多くあり、PFI事業のニーズの高い分野から規制緩和を要望していくことが重要である。

    5. 中間報告書では、代表的な事業分野について、PFIを実施した場合のケース・スタディを行なった。公共支出削減効果について従来型の公共事業と比較すると、例えば、公共施設(ビル)についてはかなり大きな削減効果が見込まれるとの試算を得た。

  2. 懇談
    1. VFMについて、客観的に測れない便益が多く、主観的にならざるをえない。特に、限られた情報の下で民間側がVFMを計算することは無理であり、公共側でVFMを計算し考慮すべきである。

    2. VFMの計算は難しいが、PFIを推進していく上で必要な考え方であり、単純な形でも導入しておくべきである。

    3. 官側のPFIに対する取組みが遅れている。雇用問題等も含めて官側の疑念を解消していくことも求められるのではないか。


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