経団連くりっぷ No.84 (1998年8月27日)

中央省庁等改革の具体化にあたっての課題

会長 今井 敬


今井 経団連会長

行政改革会議の最終報告を受け、本年6月に中央省庁等改革基本法が成立した。現在、総理を本部長とする中央省庁等改革推進本部において、2001年1月1日からの移行を目指して、中央省庁等の新たな姿を具体化する作業が進められている。
今後、来年4月頃を目途に、内閣法、国家行政組織法、各省設置法、独立行政法人通則法等を国会に提出すべく、本年9月末に立案方針、来年早々には大綱を決定する段取りとなっている。私も本部長直属の第三者機関として設けられた顧問会議の座長を仰せつかり、推進本部に意見具申する責を負うことになった。
以下に今後の具体化作業において、是非とも実現を図るべき重要なポイントと検討課題について、会員各位にご紹介しておきたい。

第1に、事前規制型行政から事後チェック型行政への転換である。個別の作用法に基づく行政庁の権限行使のあり方を、具体的にどのように変えていくのか、立法化のあり方につき十分な検討が必要である。

第2に、内閣機能の強化である。とりわけ新設される内閣府に置かれる予定の経済財政諮問会議、総合科学技術会議等の実効性をどのように確保し、トップダウン的な政策形成・遂行を可能なものとするか、米国はじめ諸外国のあり方も参考にしながら、大胆な検討を加える必要がある。

第3に、小さな政府の実現である。新たに創設される独立行政法人を効率的で活力ある組織とする方策に加え、現行の特殊法人をどこまで独立法人化できるかも粘り強く検討しなくてはならない。さらに国家公務員の定数につき、10年間で独立行政法人化による減員も含めて20%の削減を行なうため、2001年を待たず、採用数の見直しなど具体的な対策に着手する必要がある。

第4に、公共事業と補助行政の見直しである。公共事業については、より現場に近いブロック機関に執行権限を委ねることを通じて行政効率を向上させることが求められている。補助行政においても、地方分権推進委員会の答申も踏まえ、補助金の整理・合理化を図るとともに、地方自治体に裁量的に運用が委ねられる統合補助金をどのようなものとするのか、新たな視点に立った検討が必要である。

以上、数点のポイントをご紹介したが、これら以外にも具体化すべき問題は多い。この度の改革は、明治維新や終戦時に続く、「この国のかたち」の再構築を企図する大改革である。私ども顧問会議は広く民間の叡知を結集するなかで、実り多い成果を残せるよう力を尽くす所存であり、経団連会員各位の強力なご支援をお願いしたい。

以 上 


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