経団連くりっぷ No.84 (1998年8月27日)

OECD諮問委員会(委員長 河村健太郎氏)/7月15日

求められるOECDの積極的活用

−98年度総会を開催


98年度のOECD諮問委員会総会を開催し、97年度事業報告・収支決算ならびに98年度事業計画・収支予算を審議、了承した。審議に先立ち、外務省の大島経済局長より、最近のOECDの活動状況等について説明を聞いた。大島局長は、OECDの分野横断的なプロジェクトへの取組みや、新たな分野での分析、提言機能の重要性を指摘し、OECDの積極的活用の必要性を強調するとともに、経済界の協力への期待を表明した。

  1. 日本の経済対策への評価
  2. さる4月27、28日に98年度のOECD閣僚理事会が開催され、コミュニケに4月24日に日本政府が発表した総合経済対策パッケージを「歓迎する」との評価が書き込まれた。OECDの閣僚理事会のコミュニケや、年2回発行される『エコノミック・アウトルック』は、国際社会が日本の経済や政策をどう評価しているかを示す客観的な情報となるので重要である。OECDによる評価は、G7サミットのコミュニケなどにもそのまま反映されている。

  3. 投資協定と貿易交渉
  4. 閣僚理事会では、前述のマクロ経済問題に加え、多国間投資協定(MAI)交渉の取扱いと、次期WTO交渉などについて討議が行なわれた。
    MAIは本来の交渉期限を1年延長し、今回の閣僚理事会での合意を目指してきた。しかし各国でにわかに環境NGO等によるMAI反対キャンペーンが強まったこともあり、一旦交渉を中断し、10月に再開することとなった。今後、BIACとも協議の上、こうしたNGOの動きへの対応を考えていきたい。
    2000年に始まるWTOの次期交渉については、ビルト・イン・アジェンダである農業およびサービス分野のみならず、他の分野にも自由化交渉を広げる方針が打ち出された。これを受けて、5月中旬のWTO閣僚会議では、次期交渉の内容を来年のWTO閣僚会議で決定することが合意された。

  5. OECDの得意分野
  6. OECDは、従来活動の重点を置いてきたマクロ経済問題、貿易などの分野につき、それぞれG7サミット、WTOなど他の国際フォーラムの活動が活発化してきたことにより、独自の貢献が難しくなっている。
    しかしOECDは、分野横断的なプロジェクトや、新たな分野における分析、提言などに力を発揮することができる。例えば国際的な電子商取引、外国公務員への贈賄の防止に関する条約の締結、貿易・投資の自由化の利益の分析、規制制度改革の経済効果の分析などは、OECDがまさに得意とする分野である。
    そこで日本政府としては、さまざまな分野でOECDを積極的に活用していきたいと考えているので、経済界の活発な協力を強く期待する。


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