第46回北海道経済懇談会/7月16日
経団連・北海道経済連合会(道経連)共催の標記懇談会が、札幌市にて開催された。「開拓以来最大の試練」を迎えている北海道側は「地域が自らの力で生き抜いていく」という強い信念をもって経済自立に取り組んでいくと訴えた。経団連側は今井会長、熊谷副会長、古川副会長、片田資本市場委員長・コーポレート・ガバナンス委員長が、金融システムの安定化、ロシアとの経済交流の取組み、全国総合開発計画の評価と課題、資本市場改革の推進ならびにコーポレート・ガバナンスの確立などについて理解を求めるとともに、今こそ21世紀に向け新たな発展の基盤を確立しなければならないと訴えた。
日本経済が歴史的な低迷状態に陥っている中で、北海道経済は、個人消費の冷え込み、雇用情勢の悪化が見られ、企業経営者も守りの姿勢に入っている。この原因としては、
北海道開発庁や北東公庫の統合再編など、これまでの北海道の発展を支えてきた大きな枠組みが崩れ、北海道は大きな転換期にあり、従来の公共投資依存型経済から、自立型経済に移行する必要がある。
こうした中、道では、まず、景気回復を軌道に乗せるため、国の総合経済対策と呼応して、社会資本の整備、金融支援の強化、観光の振興、雇用の安定を柱とする過去最大の補正予算を編成した。また、雇用情勢の悪化に対応するため、労働相談員の増員、離職者雇用開発のための制度の充実、緊急生活資金等の融資を創設した。さらに、道や市が管理する空港の使用料を引き下げ、観光振興のインセンティブにしたいと考えている。道としては、今後とも、道経連をはじめとする経済界の皆様方と連携を図りながら、経済の活性化に努める所存である。
北海道経済は今が底であり、この状態から脱却するためには、
北海道産業の高度化を目指す産業クラスター構想は、中核施設も整いつつあり、構想の実践段階に入った。実践活動の基本方針は
新千歳空港が一層の国際化を進めるためには、仙台や福岡などとネットワークを結ぶ必要がある。その際、国内の各空港に着陸する度に空港使用料がかかるのは大きな障害である。国内の2空港を経由する航空機の空港使用料の軽減を図るべきである。
また、2000年のサミット開催地に立候補した札幌は、国際コンベンション都市としての機能を高めており、自然環境を生かした観光産業は、海外PRに力を入れている。ロシアとの経済交流も活発であり、産業クラスターを学んだ北欧とも交流を深めるなど、地域における国際交流を進めていく。
広域分散型社会である北海道では高速交通体系の整備が欠かせない。道経連では財政再建下での「北海道のあるべき高速交通体系」について議論しており、整備の優先順位にまで踏み込んで提言をまとめたい。具体的には北海道新幹線の整備や、札幌-函館、札幌-釧路の高速道路未開通区間の早期完成などを訴えていきたい。
片田委員長からは「経済のボーダレス化の進展に伴い、コーポレート・ガバナンスの確立が求められている」、熊谷副会長からは「北海道が取り組む極東ロシアとの経済交流に資する極東振興策の策定・実施をキリエンコ首相に要請した」との発言があった。古川副会長は「経団連も空港使用料の引き下げ、大学と企業との連携に向けた取り組みなどを行なう」「北海道経済対策の促進を応援する」と道経連側の発言に応えた。
最後に今井会長が「北海道経済の一刻も早い立ち直りに向けて経団連もできる限りの応援をしていく」と締め括った。