経団連くりっぷ No.84 (1998年8月27日)

日本トルコ経済委員会(委員長 武井俊文氏)/7月16日

武井新体制で日土経済関係強化を目指す

−98年度日本トルコ経済委員会定時総会を開催


6月22日に新しく武井石川島播磨重工業社長を委員長に迎えた日本トルコ経済委員会は、7月16日には98年度定時総会を開催し、97年度決算・事業報告ならびに98年度予算・事業計画を、また関前委員長の委員会顧問への就任を満場一致で可決した。以下は定時総会の来賓として招いた遠山駐トルコ大使の発言要旨である。なお、総会の開催に先立ち、6月末にトルコ南東部、地中海沿岸のアダナ付近で発生したマグニチュード6.3の大地震に対する震災見舞金を、7月13日に武井委員長よりヤズジョール・トルコ共和国駐日臨時代理大使に手渡した。


武井委員長

遠山大使発言要旨

  1. 5月3日に開催した土日基金文化センター開所式ならびに翌5月4日に同センターで開催された第11回日本トルコ合同経済委員会が、豊田会長はじめ多数のご来訪を得て、盛大に執り行なわれたことを大使としてうれしく思っている。文化センター建設にあたって日本の経済界の多大な協力を得たことに対し、トルコ側は謝意を述べていた。日土両国の友好関係の新たな象徴として同センターを活用していきたい。

  2. トルコは、ユルマズ政権が、1年以上にわたるイスラム教色の強い福祉党政権の後を受け、改革に向けて新たなスタートを切りつつある。同政権は少数与党の政権でありながら極めて安定している。これまで遅れがちであった経済構造改革や国営企業の民営化等を推し進め、今夏までにはIMFとの間の政策合意を取り付けられる見通しである。予定通りに計画が進めば、年率100%近かったインフレ率が、99年には20%程度にまで抑制されることとなる。財政赤字もかなり改善される。

  3. このような状況にあって、大小財閥系を中心としたトルコの民間企業は、極めて力強くビジネスを展開している。とくにロシア、カザフスタン、アゼルバイジャンをはじめとする旧ソ連諸国やハンガリー、ブルガリア等の旧東欧諸国に対する躍進は目覚しい。

  4. 一方、政治面では、次期総選挙をいつ執り行なうかが最大の焦点となっている。99年春との説がマスコミを長く賑わしていたが、実際のところは未だに決定されていないようである。経済構造改革を進めるためにも、総選挙は遅い方がよいとの見方が強い。政治の安定と経済構造改革が進めば、外国投資、とりわけ日本企業の投資も徐々に増えるものとトルコ側は期待しており、私からもトルコ政府に政治・経済の安定策を求めていきたい。


くりっぷ No.84 目次日本語のホームページ