経団連くりっぷ No.84 (1998年8月27日)

防衛生産委員会/7月15日

情報技術と21世紀の防衛
技術調査「C4Iの将来動向」について報告


防衛生産委員会では、防衛装備に関する技術的テーマを選定し技術調査を実施しており、今回はC4I(シー・フォー・アイ:指揮・統制・通信・コンピュータおよび情報)について調査を取りまとめ、報告会を開催した。同報告会では、C4Iに対する関心の高さを反映し、防衛生産委員会会員企業を始め約340人が参加し、報告書を執筆した8名の関係企業専門家より、C4Iに関して米国の現状、主要技術等について説明を行なった。以下はその概要である。

  1. 情報技術が変える防衛システム
  2. 先の湾岸戦争において見られたように、ハイテク兵器の登場により、従来の防衛のあり方が大きく変容してきている。特に、正確かつ迅速に情報収集を行ない、その情報を分析評価した後、指揮官の意思決定、命令の伝達、軍隊の運用に有効に活用することが一層重要になっている。
    米国では、情報通信技術を活かし、優位な指揮・統制システムの構築を行なってきており、その代表がC4Iである。C4Iは、Command, Control, Communications, Computer & Intelligence「指揮・統制・通信・コンピュータおよび情報」の略称であり、センサやレーダによる情報収集、衛星等の通信手段によるリアル・タイムの情報の伝送、さらに中枢での情報のコンピュータ処理を経て、指揮官は指揮・統制のために情報を活用しつつ、作戦を遂行する。これにより、従来の指揮・統制システムに比して、情報把握能力、意思決定過程の情報の質が著しく改善されることになる。

  3. 米国のC4Iの展開
  4. C4I先進国である米国では、1970年代以降、指揮・統制システムの開発を進めてきており、陸海空三軍および海兵隊では、独自のC4Iシステムを整備してきている。現在、各軍を統合する必要性から、米軍は全地球的指揮統制システム(GCCS)を具体化させつつある。これは、大統領が全世界に展開する各軍を指揮・統制でき、統合的な戦闘能力の改善や各軍相互の運用性向上を図るものである。

  5. わが国のC4Iの現状
  6. 米国でのC4Iの動向も踏まえ、防衛庁では情報本部の創設とともに、陸海空自衛隊の情報・指揮統制を統合した新中央システムの整備を計画している。
    C4Iにおいては、レーダ等のセンサ技術やコンピュータ・ネットワーク技術等が重要である。わが国の産業界に対しては、民間技術を最大限活用し、C4Iに代表される統合通信インフラ構築に積極的に寄与する役割が期待されている。


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