経団連くりっぷ No.85 (1998年9月10日)

掲示板<
創造的人材育成協議会企画部会(部会長 森本昌義氏)/8月26日

小学校から大学までの教育改革を推進

−文部省 高 総務審議官に聞く


教育改革については、中央教育審議会をはじめとする教育関係の各審議会より、2002年の完全学校週5日制に向けての教育内容の厳選や、21世紀の大学像のあり方等の提言が行なわれている。そこで、企画部会(部会長:森本昌義ソニー上席常務)では、このような最近の教育改革の動きや課題を把握するために、文部省大臣官房の高(たか) 総務審議官より、文部省の教育改革への取組みの現状について聞いた。

  1. 教育改革への視点
  2. 戦後の教育改革は、6・3・3制の導入期、国情にあった見直し期、進学率が上昇した充実期、1984年の臨時教育審議会以降の4つの流れがある。今回の教育改革も第4の流れの中に位置づけられる。従来の知識偏重、詰め込み型の教育を改め、

    1. 豊かな人間の育成、
    2. 権利と自由のみでなく義務と責任の徹底、
    3. 一人ひとりの個性・能力の尊重、
    を念頭に置き、小学校から大学までの教育制度の大転換を図っている。

  3. 小・中・高校での具体的な改革施策
    1. 97年1月、文部省は教育改革を推進するための具体的な課題やスケジュールを示した「教育改革プログラム」をとりまとめた(98年4月に再改定)。その4つの柱は、

      1. 心の教育の充実、
      2. 多様な選択ができる学校制度の実現、
      3. 自主性を尊重した学校作り、
      4. 大学改革と研究の振興、
      であり、このプログラムに沿って改革を進めている。

    2. 心の教育の充実では、去る6月に、中央教育審議会が、家庭でのしつけの充実、父親の子育てへの積極的参加等を呼びかけた。また、教育課程審議会は、2002年度からの完全学校週5日制に向けての教育内容の厳選、教育職員養成審議会は、教育実習の充実、社会人の学校への活用策等を提言している。

    3. 多様な選択ができる学校制度では、数学等の分野での大学入学年齢を17歳へ引き下げるとともに、99年度から中高一貫校の選択的導入を可能とした。

    4. 自主性を尊重する学校作りでは、国の役割を明確に限定し、現場の自主性を尊重するために、中教審で、校長のリーダーシップの確立等、地方教育行政のあり方を検討している。

  4. まったなしの大学改革
    1. 大学改革と研究の振興では、大学審議会より、21世紀の大学像について、6月に中間まとめ出した。

    2. 18歳人口の減少と進学率の上昇に伴い、従来通りの大学教育では通用しなくなっている。多様な学生への対応と、世界に通用する教育水準の確保に向けて、大学の組織・運営・評価システムを考え直す必要がある。

    3. また、大学院も、高度職業人の養成等、社会の要請に応える必要がある。変化の激しい現代において、大学改革はまったなしであり、積極的に取り組みたい。


くりっぷ No.85 目次日本語のホームページ