経団連くりっぷ No.87 (1998年10月8日)

第22回日本メキシコ経済協議会第2回事務レベル打合会/9月24日

サポーティング・インダストリー育成への支援


11月中旬に東京で開催予定の第22回日本メキシコ経済協議会に向けて、第2回事務レベル打合せ会を開催した。日本の対メキシコ投資を促進する上でサポーティング・インダストリーの育成が急務となっていることから、当日は打合せに先立ち、ユニコ・インターナショナルの守口主任コンサルタントより、国際協力事業団(JICA)とメキシコ商工振興省(SECOFI)が進めている「メキシコ国要素技術移転計画調査」プロジェクトにつき説明を聴取した。

  1. 技術の向上を目指して
  2. JICAは96年2月から1年間、「サポーティング・インダストリー振興開発計画調査」を実施し、現地企業・団体・州政府等への訪問調査に基づいて、6つの戦略((1)技術の向上、(2)下請契約の促進、(3)企業家精神の開発、(4)人的資源の開発、(5)金融支援の改善、(6)中小企業振興のための基盤整備)と12のプロジェクトをSECOFIに提案した。
    このなかから、(1)技術の向上を目的とするプロジェクトのひとつとして提案した「巡回指導による技術移転」につきSECOFIからJICAに実施要請があり、97年9月から1年間、「メキシコ国要素技術移転計画調査」として実施することとなった。

  3. 現地技術支援機関への技術移転
  4. このプロジェクトは、日本側コンサルタントがメキシコの技術支援機関のコンサルタントとチームを組み、周辺の企業を一緒に巡回指導する過程で指導方法自体を伝授しようとするものである。
    今回は、教育省傘下の「産業技術開発センター」(CYDESI)と「応用科学研究センター」(CIQA)をカウンターパートとし、10社前後の周辺中小企業をモデル企業として選定し、それぞれ金属プレスとプラスチック成型の技術指導を行なっている。指導方法をスペイン語でマニュアル化し、プロジェクト終了後も当該技術支援機関が独自に企業への指導を行なえるようにしている。金属プレスといえばCIDESI、プラスチック成型といえばCIQAと言われるような、メキシコを代表する技術支援機関に育て上げるのが目標である。両機関とも意欲的であり、プロジェクトを1年延長することが決定した。

  5. 既存組織の活用が課題
  6. モデル企業が零細で経営陣の交替が多く、その都度はじめから指導をやり直さなければならないなど、問題も多い。また技術支援機関の予算が少なく、職員の給与レベルが低いため、職員が定着しにくいことも、技術移転を難しくしている。
    メキシコには、すでにサポーティング・インダストリー育成のための組織が数多く作られているが、活動がばらばらで十分な成果が上がっていない。既存の組織間の連携を図っていくことが今後の課題であり、日本側として支援できる点も多いと考える。


くりっぷ No.87 目次日本語のホームページ