経団連くりっぷ No.88 (1998年10月22日)

金大中 大韓民国大統領歓迎昼食会(経済6団体共催)/10月8日

新たなパートナーシップに向けた協力を


経団連は、日本商工会議所、日本経営者団体連盟、経済同友会、日本貿易会、日韓経済協会とともに国賓として来日した金大中 韓国大統領を招き、昼食会を開催した。以下は、金大統領の挨拶要旨である。

金大中 大統領

  1. 通貨危機は韓国の再跳躍のチャンス
  2. 韓国の通貨危機に対する日本政府・経済界の協力に感謝する。今回の危機は、政経癒着や官治金融(金融機関の人事、貸出などに政府が直接介入)が企業の競争力の向上を妨げたことにより発生した。この危機を改革と新たな跳躍の契機として民主主義と市場経済を発展させたい。

  3. 日本への期待と韓日協力
  4. 日本には、金融システム安定化、民間消費と投資の活性化を通じて世界経済の回復に貢献してもらいたい。日本の市場開放と内需拡大、アジア諸国への技術移転と資本協力も重要である。
    真の韓日経済協力がアジア諸国間の協力にひとつのモデルとなる。具体的には、第1に韓日貿易不均衡は拡大均衡により是正すべきである。そのため、韓国は来年6月までに輸入先多角化制度を撤廃する。第2に、両国国民相互間の理解と信頼を増進するため、日本の大衆文化の開放を進める。
    第3に、日本の対韓投資の活性化により、韓日企業間の戦略的提携を拡大すべきである。特に、自動車、半導体、鉄鋼、造船等の価格競争を中止し、相互持ち株投資、技術提携、共同開発等の方策を模索する段階である。また投機性資金への共同対処も必要である。

  5. 大きく改善される韓国の投資環境
  6. 外国人投資に関しては、ほとんどすべての業種で外国人による投資が自由化されたほか、金融商品への投資限度額撤廃、M&Aの全面的許容、不動産所有制限の撤廃が実現し、労働者の調整解雇制度も導入された。外国人投資に対する韓国の国民感情も改善しており、来月の外国人投資促進法施行により投資環境は大きく改善される。
    韓国の人的資源、内需市場も充実しており、今こそ対韓投資の好機である。私は韓国政府を代表して、両国企業間の協力を最大限に支援することを約束する。

  7. 新たなパートナーシップに向けて
  8. 1500年にわたる両国間の友好と協力の歴史が、新たなパートナーシップの構築の重要性をわれわれに呼びかけている。経済界の方々には、韓日関係の発展に向け両国民の先頭に立っていただきたい。


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