経団連くりっぷ No.88 (1998年10月22日)

日本コロンビア経済委員会/9月24日

21世紀に向けた新たな日本・コロンビア関係の構築に向けて


日本コロンビア経済委員会では、次回の合同会議に向け、識者を迎え適宜コロンビア情勢のヒアリングを実施していく計画である。第1回の会合として、外務省中南米局の越川中南米第2課長より、本年8月にスタートしたパストラーナ新政権の今後の展望と課題および日本・コロンビア関係について説明を聞いた。

  1. 新政権に対する米国の期待
  2. サンペール前大統領は、選挙キャンペーン中の麻薬資金疑惑により政治危機に陥り、残念ながら見るべき成果をほとんど上げることなく任期切れとなった。麻薬問題を安全保障の問題と定義している米国は、サンペール前大統領に対しては入国ビザを発給しない等、強硬な姿勢をとった。しかし、パストラーナ新大統領に対しては、全面的に支援していこうとの姿勢が見られる。新大統領は10月に国賓として訪米することが決まっている。

  3. 新政権の課題
  4. 最も重要かつ難しい課題が、ゲリラとの和平問題である。経済運営、民主主義に関しては良い歴史を持つものの、暴力が政治の中に組み込まれた点は、コロンビアの国際社会におけるイメージを悪くしている。第2の課題は麻薬撲滅で、米国との関係においても重要である。第3に、緊急の課題として経済危機の克服があげられる。
    ゲリラ問題について、コロンビアは中南米で最も長く武力紛争が続いている国となっている。最近、コロンビア和平達成に向け、ドイツ政府およびカトリック教会の協力が一部得られた点ならびに米国、欧州各国が協力的な姿勢を見せている点は、プラスに作用しよう。
    一方、経済面では、コロンビア政府が先般実施した、為替変動のバンドを広げるという実質的な通貨の切り下げ措置については賛否両論がある。政府は金利の引き下げを実施したい意向であるが、高金利が続いている。アジアを始めとする世界的な経済不況のため、一次産品の価格が下がっており、コロンビアの主要輸出品であるコーヒーの価格も下落している。また石油の国際価格も低迷しており、輸出面でもコロンビアは厳しい状況に立たされている。

  5. 21世紀に向けた二国間関係の構築
  6. コロンビアは石炭を始め、石油、天然ガス等、資源に恵まれている。日本は石油の80%以上を中東から輸入しているが、こうした中東依存度の高さは、中長期的には大きな疑問符がつく。経済安全保障的な見地からは、石油がひっ迫した場合の輸入の確保が重要であり、このためには輸入先の多角化が必要である。その場合、中南米は有望な候補地となり得るし、特にコロンビアは、ベネズエラと並び21世紀のエネルギー大国としてきちんと位置づける必要がある。外務省としても、関係省庁、諸機関とも話し合いながら、総合的なアプローチをとっていく。特にコロンビア政府が計画している太平洋岸のインフラ(道路、鉄道、港湾)整備メガ・プロジェクトについて、日本政府としても前向きに対応していきたい。


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