創造的人材育成協議会(会長 荒木 浩氏)/10月22日
創造的な人材育成において、大学が果たす役割は非常に大きい。そこで、21世紀の大学像について検討している大学審議会の石川忠雄会長より、10月26日にとりまとめる「21世紀の大学像と今後の改革方策」の概要を伺うとともに、意見交換した。石川会長は、「21世紀は不透明で複雑化した時代であり、その時代に対応できる人材育成のために、画一化から個性化・多様化へ、量から質へ、規制から緩和へ、硬直から柔軟への方向で大学の構造を変えていく必要がある」旨を強調した。
21世紀初頭の社会は、(1)一層流動的で複雑化した不透明な時代、(2)国際間の競争と協調・共生が求められる時代、(3)人口爆発や、エネルギー・資源問題への対処が求められるとともに、産業構造・雇用形態の変化が進む、(4)生涯学習へのニーズが高まるなど、大変難しい時代であり、そのために、(5)大学等の高等教育機関においては、学問の総合化が生じるなど、「知」の再構築が強く求められる時代となろう。また、高等教育の大衆化に対応しつつ、大学は、知的活動の中心として、構造を変え、各々が個性的な特徴を明確に打ち出す必要がある。
そこで、答申では、
課題探求能力の育成
今後の難しい時代には、自ら問題を発見し、分析・判断する、課題探求能力の育成が重要である。そのために、学部教育では、ディベートや少人数による授業等の新しい養成方法の導入、大学院教育では、将来を担う研究者の育成とともに、高度職業人の養成も必要であり、経済・法律実務等に特化した1年制大学院の設置を打ち出している。
教育システムの柔構造化
大学が「知」の再構築を図るためには、大学の選択肢の範囲を柔軟化・弾力化する必要があるということで、優秀な学生の3年次での卒業認定、9月入学の拡大、60単位までの単位互換認定等を提言した。
責任ある意思決定と実行
大学が個性を発揮するためには、責任ある意思決定が必要である。教授会、学長の役割・権限等を明確にするなど、学内の機能分担を明確化すべきと提言した。
多元的な評価システムの確立
大学の個性を伸ばし、教育研究の改善につなげるシステムを確立する必要がある。現在、大学が行なっている自己評価は、十分ではない。第三者機関による客観的な評価システムの導入を訴えた。