経団連くりっぷ No.89 (1998年11月12日)

中東アフリカ地域委員会(共同委員長 上島重二氏)/10月21日

アフリカ諸国首脳に日本企業の投資活動を説明

─日本政府・国連共催 第2回アフリカ開発会議官民交流セッション


経団連は、わが国政府の要請を受け、第2回アフリカ開発会議の官民交流セッションに上島中東アフリカ地域委員会共同委員長はじめ約60名が参加し、その後、引き続き昼食会を主催した。以下は官民交流セッションにおける懇談の模様である。(記事後に用語解説)

  1. ダンカン・廣野両共同議長による開会の後、マラウィのチルンパ大蔵大臣より、90年代に入って以来、アフリカ諸国の平均経済成長率は5〜6%に達し、インフレも沈静化し、政治・社会も安定している。しかしアフリカに対する日本企業の投資は少ない。南部・東南部・西部アフリカでは地域経済統合も進んでいる。問題を抱えている国はあるが、他国への投資を阻害するほどではない。投資環境整備には力を入れており、天然資源も豊富である。今後の日本企業の投資を期待する、との発言があった。

  2. これに対し日本側からは、上島委員長、越後松下電器理事、大井東京三菱銀行常務、岡住友商事常務が発言し、

    1. 経団連のアフリカに対する取組み、
    2. 個々の業界のアフリカに対する取組み、
    3. 政治・経済的安定やインフラ構築等の投資前提条件、
    4. 製造業投資の基本的な考え方、
    5. ODAとの連携も視野に入れた官民協調の必要性、
    6. 地域統合を念頭に規模の経済の必要性、
    等について説明した。その後、マレーシア・フィリピンの代表から、これまでの経験をふまえ、投資を受入れる側として整えるべき条件等についての説明があった後、活発な意見交換が行なわれた。

  3. その中でムベキ南ア副大統領は、

    1. 日本におけるアフリカの悪イメージをいかに変えるか、
    2. 日本企業独特の投資に対する慎重姿勢を変えるためにアフリカとして何ができるか、
    3. 日本として対アフリカ進出を促進できないか、
    等の課題が提起された。

  4. 官民交流セッションを終えるにあたり、ダンカン議長は、

    1. アフリカとして一体で投資誘致を図っていく必要性があること、
    2. 各国の事情を伝える手段を確立し日本の正しいアフリカ理解を促進すること、
    3. アフリカ側が投資環境整備を強化すること、
    4. 日本企業が頻繁にアフリカを訪問すること、
    等に関係者全員が注力していく必要性を強調した。

第2回アフリカ開発会議(TICAD-II)
本年10月19日〜21日、アフリカ諸国に自主的な経済開発を促すとともに主要援助国が今後とも継続してアフリカ開発を支援していく姿勢を示すために、東京にて開催された国際会議。主催は日本政府、国連等。同会議には、アフリカ53カ国からムスワティー三世スワジランド国王、ローリングス・ガーナ大統領、モガエ・ボツワナ大統領、ムベキ南ア副大統領をはじめとする国家元首・閣僚級50名以上を含め、300人以上が参加した。わが国からも小渕総理、高村外務大臣が参加、21日に「21世紀に向けたアフリカ開発:東京行動計画」を採択し、閉会した。

官民交流セッション
21世紀のアフリカ開発を支える最大の要因は民間投資であるという観点から、わが国政府は、アフリカ諸国代表の要請を受け、第2回アフリカ開発のプログラムに、アフリカ53カ国の代表と日本経済界との懇談の場として、官民交流セッションを組み込んだ。経団連は、わが国政府の依頼を受け、経済界代表として協力・参加した。

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