経団連くりっぷ No.89 (1998年11月12日)

ブリタン欧州委員会副委員長およびヤコブスUNICE会長他欧州ビジネスマン一行との懇談会/10月13日

日EU関係の現状と展望


日EU閣僚会議に出席のため欧州委員会のブリタン副委員長が来日した。経団連では、同副委員長および随行のヤコブスUNICE(欧州産業連盟)会長他ビジネスマン一行を招き、樋口副会長同席の下、若井ヨーロッパ地域委員会共同委員長の進行により懇談会を開催した。ブリタン副委員長ならびにヤコブス会長からは、日EU関係の現状ならびにアジア、特に日本との経済関係強化への期待等について発言があり、経団連側からは日本経済の現状等について説明した。以下は説明要旨である。

  1. ブリタン副委員長発言要旨
    1. アジア金融危機と日本の役割
    2. 日本、アジア諸国、国際経済を取り巻く環境は大変厳しい。日EU経済をはじめ各国経済は相互依存の関係にあり、今般のアジア金融危機は深刻な影響を国際経済に及ぼした。
      欧州委員会はアジア経済の潜在的成長力、安定性を確信しており、同地域の経済再生に支援策を講じてきた。また、今回の危機を通じてWTOで提唱してきた市場開放、自由貿易の重要性が再確認された。今回の経験を踏まえ、日本、アジア諸国は一層の市場開放と流通機構等の自由化政策を推進し、多国間協定の推進をすべきである。
      今後、日EUが協力し、2000年以降の新たな貿易交渉の包括協議ラウンドを行ない、その場を通じて多国間貿易制度のさらなる強化を進めていく必要がある。

    3. Euro導入と国際経済の安定
    4. Euroの導入はEU経済だけではなく、国際経済にも多くの恩恵をもたらす。Euro圏は世界のGDPおよび総貿易量の20%を構成する等、米国市場に匹敵するだけの市場を提供する。また、Euroは国際経済安定化へのアンカーの役割を果すことになる。

    5. 日EU関係強化への期待
    6. 日EUは経済分野だけではなく政治分野、国際関係の分野でも共通の利益を有する。たとえば、中国のWTOへの加盟問題、対ロシア経済援助問題、朝鮮半島問題等がある。今後、世界の安全保障の問題についても二国間協議を行なっていくことが期待される。

  2. ヤコブスUNICE会長発言要旨
  3. UNICEは、欧州において規制緩和等の諸改革を通じ社会・経済・政治等の広範囲な改革を推進する等、欧州の経済発展に貢献してきた経験と歴史を有する団体である。このような経験から、日本が今後、アジェンダ通り、種々の構造改革、規制緩和を推進すれば、現在の経済的困難から脱することができると確信している。また、効果的に減税措置、規制緩和をすすめることが、最終的には日本の経済成長を後押しすることになる。
    欧州の産業界は、

    1. 日本の内需拡大・回復、
    2. 金融システムの健全化、
    3. マーケット・アクセスの向上、
    4. バランスのとれた日本とEUの貿易、
    等を期待している。


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