経団連くりっぷ No.89 (1998年11月12日)

WTOサービス自由化交渉に関する懇談会(座長 太田経団連参与)/10月20日

次第に本格化するWTO次期サービス貿易交渉をめぐる動き


2000年より開始されるWTOのサービス分野の貿易自由化交渉に向けた、欧米の政府、サービス産業界の動きが活発化している。そこで、貿易投資委員会は同交渉に関するサービス関連企業の情報、意見交換を目的に「WTOサービス自由化交渉に関する懇談会」を新たに設置した。第1回会合では、山田外務省サービス貿易室長、加藤通産省サービス産業課長、相澤通産省通商協定管理課長よりWTOの動向等につき説明を聞き、種々懇談した。

  1. 山田外務省サービス貿易室長説明
    1. 2000年に開始されるサービス交渉に向けて、WTOでは現在、産業セクター別の情報交換会合を行なっている。この結果をふまえ、来年春先から交渉指針および手続きに係るガイドライン(交渉主体、会合の頻度、期間等)を検討していく。来年11月末、米国で開催される第3回WTO閣僚会議では、同ガイドラインを承認すると共に、何らかの政治的な宣言を出すこととなろう。

    2. 次期サービス交渉をめぐる論点として、

      1. 自由化交渉(分野別・横断的)の具体的な方法論、
      2. サービス協定のルール整備、
      3. 各国の自由化約束の構造問題、
      4. 電子商取引や新たな課題(投資など)、
      等がある。

    3. サービス自由化交渉に対しては、政府全体・全省庁的な取組みが必要と考える。また、民間から政府へのインプットや民間同士による国内外のネットワークづくりが重要である。さらに、「攻め」と「守り」を考える必要がある。他国のサービス市場の開放、透明性向上をいかに実現していくか、わが国のサービス市場において消費者保護等の観点から必要な規制を守るためにどのように理論武装していくかを検討する必要がある。こうしたことから、今後の交渉にあたっては経済界との連携を深めていきたい。

  2. 加藤通産省サービス産業課長説明
    1. サービス産業連盟(CSI・米国系多国籍企業を中心メンバーとするサービス産業団体)は、9月末にサンチャゴにおいて年次総会を開催し、日本からも官民が参加した。

    2. CSIは、WTOの第3回閣僚会議に向けた具体的活動計画を立てる等、戦略的アプローチをとっている(例えば、シンクタンク等と協力して、次期交渉の分野別・横断的課題の詳細な分析、来年11月に米国にて関係者を集めた大規模な会議開催等も予定)。他方、欧州ではヨーロピアン・サービス・ネットワークが設立された。

    3. 欧米で話を詰めた後で日本が意見を聞かれるといった事態を避けるためにも、日本の産業界も欧米の人的ネットワークに入り込み、民間主導で情報収集することを考えていただきたい。

  3. 相澤通産省通商協定管理課長説明
  4. 産業構造審議会WTO部会の下にサービス小委員会を設置、8月より議論を始めている。各企業が各国で展開する際の問題点、国内サービスの効率化の方策等、ユーザーサイドの観点も含めご議論いただいている。


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