経団連くりっぷ No.90 (1998年11月26日)

経団連提言/11月17日

生活空間情報基盤の構築に向けて
〜地理情報システムの高度利用のための提言〜
を取りまとめ


情報通信委員会(委員長:藤井義弘氏)では、昨年12月より地理情報システムの高度利用のための環境整備のあり方について検討を行なった結果、標記提言をとりまとめ、11月17日の理事会で承認を得たうえで関係方面に建議した。以下はその概要である。


地理情報システム(GIS:Geographic Information System)は、国民生活の安全の確保や質的向上、行政サービスの効率化と利便性向上、さらには、企業の戦略的意思決定やコンテント産業の発展等のツールとして期待が高まっている。
GISの高度利用の基礎となる地図、行政、経済、環境等の情報と関連する技術、人材等は、「生活空間情報基盤」ともいうべき国民生活に不可欠の社会基盤であり、米国等では国をあげて整備を推進している。
これに対して、わが国においては、省庁間における役割分担や責任の所在・範囲、また、国・地方公共団体・民間との間の役割分担が必ずしも明確でなく、基盤整備も民間が期待するテンポでは進んでいない。今後、広く行政や企業等が地理情報システムを高度利用できるよう、重複投資を排除しつつ、「生活空間情報基盤」の整備を総合的かつ集中的に推進していかなければならない。

【提言のポイント】

行政においては、今後3年以内に、次の措置を実行すべきである。

  1. 生活空間情報基盤の構築を総合的、集中的に行なうため、時限的に推進法を制定するとともに、各省庁を統括し優先的な権限を有する専門組織を設立すべきである。

  2. 行政、とくに地方公共団体はGISを積極的に活用すべきである。行政のもつ地図、台帳、統計等の空間データに関し、省庁間、省庁と地方公共団体との間、各部課間等で相互利用を推進するため、標準化を進めるとともに共用可能とし、行政事務の効率化、空間データ整備コストの削減、行政サービスの利便性向上等を図るべきである。

  3. 行政情報について、原則電子化、ならびに、プライバシー等の保護を前提としたネットワークによる提供を推進するとともに、民間による無料または安価な利用、自由な活用を可能とすべきである。また、デジタル化を想定していない法制度を見直すべきである。

生活空間情報基盤のイメージ (gif,15k)


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