経団連くりっぷ No.91 (1998年12月10日)

セリエールMEDEF(フランス産業連盟)会長一行との懇談会/11月10日

経団連はフランス産業連盟の最良のパートナー


経団連では11月7日から11日にかけ来日したMEDEF(フランス産業連盟、旧CNPF:フランス経営者評議会)のセリエール新会長一行を招き、今井会長はじめ経団連幹部が懇談した。同会合では

  1. 日仏経済関係、
  2. アジア金融・経済危機、
  3. EU拡大とロシア問題、
  4. Euro、円、ドル関係、
  5. コーポレート・ガバナンス、
の5主要議題について意見交換した。以下は議長総括(今井会長)の概要である。

  1. 日仏経済の現状について
  2. 仏側より、現在、仏経済は好調であるが、国際環境の変化等もあり99年は落ち込みが懸念される。また、国民税負担率が55%と高く、MEDEFとしても仏政府に改善を働きかけていく旨の説明があった。これに対し、日本側より、日本も少子化・高齢化問題が表面化しており、福祉等の社会問題へ積極的な取組みが望まれるとの問題指摘がなされた。

  3. アジア金融・経済危機
  4. 経団連側からは、日本の対アジア支援状況を説明するとともに、具体的な二国間協力の例を示して日仏の第3国市場での産業協力について紹介した。仏側からは、アジア金融危機を克服するための施策としてインフラ整備等のプロジェクトをおこし、日仏で協力していくことが重要である旨の提案があった。

  5. EU拡大問題と対ロシア支援
  6. 仏側は、EUの拡大と深化のパラドックスにつき言及し、拡大をこのまま続けると運営問題が表面化し、拡大には制約があることが強調された。また、対ロシア支援に関して、仏にとってロシアは政治的には重要性はあるものの経済的には重要度が低いとの発言があった。

  7. Euro、ドル、円関係
  8. 仏側より、

    1. ユーロ・ランドでは為替リスクがなくなり、通貨、経済の安定が確保される等、導入前から国際市場での信頼度も高く、Euroが米ドルに対して高めの為替レートが設定される見通しが強い、
    2. 通貨統合に伴ない金融統合も進んでいる、
    との発言があった。これに対して、日本側よりEuro、ドル、円基軸通貨3極体制による国際通貨市場の安定策について、円の存在はアジアにおいても大きくなく、円の国際化はこれからの課題との指摘があった。

  9. コーポレート・ガバナンス
  10. 経団連側から、日本企業でも外国株主(特に米系株主)のシェアが13%を占めており、これらの株主および欧米格付機関からの圧力もある等、経営形態も変化してきている旨を説明した。一方、仏側からは単一市場化に伴う仏企業経営のグローバル化および株主の国際化が必至であることが強調された。また、情報開示が株主から強く求められ十分なコミュニケーションが前提条件となってくる。監査と経営の分離が重要であるとの説明があった。


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