経団連くりっぷ No.91 (1998年12月10日)

中南米地域委員会/11月11日

共同市場の実現を目指すカリブ諸国


第6回 日・カリブ協議(政府間協議)へ参加のため来日中のカリブ共同体(カリコム)加盟14カ国の首脳を迎え懇談した。カリブ諸国側は、共同市場創設へ向けた準備を進めていることを強調するとともに、日本からの投資に対する強い期待を表明した。

  1. 平松外務省中南米局カリブ室長説明要旨
    「第6回 日・カリブ協議の概要」
  2. 本協議では、カリブ海地域の政治・経済情勢、日本とカリブ諸国間の経済協力、文化交流、国際機関における協力等について話し合いが行なわれた。また経団連が提唱している民間セクターアドバイザー派遣制度が注目を集めた。来年3月にはトリニダッド・トバゴ、ジャマイカを始めとするカリブ諸国における貿易・投資セミナーが計画されている。
    カリブ諸国は、来年中頃を目処に共同市場を創設する予定であるが、これが実現すると600万人、ハイティが正式加盟すれば1,300万人の市場が誕生する。

  3. マーヴィル・カリコム事務局対外関係担当事務局長補説明要旨
    「カリブ諸国の政治・経済情勢」
  4. 最近、カリコム加盟各国の首脳は、共同市場創設の目標を一歩進め、共通の経済地域(コモン・エコノミック・スペース)創設を目指すことで合意した。来年までに産業、貿易、農業、競争等の政策について、カリコム加盟国間で調和を図ることを内容とした9つの議定書に署名する予定である。これにより財・サービス・生産要素、さらに資本の自由な移動が保証される。
    カリブ諸国は政治的に安定しており、安心して投資を行なうことができる。中でも観光業は最も有力である。エコツーリズムという新分野もでているが、まだまだ開発途上であり、日本からの投資を歓迎する。
    また北米企業を顧客としたオフショア・バンキング等の金融業や情報処理産業も盛んである。ソフトウェア産業も発展しつつあるが、これらは広大な敷地を必要とせず、技術と要員の訓練があれば事業を行なうことができるので、日本企業もぜひ参加していただきたい。

  5. ブレイズ・カリブ農業研究開発機構(CARDI)局長説明要旨
    「カリブ諸国における農業分野への投資可能性」
  6. 経済発展に伴い、カリブ諸国は中南米で最大の食糧輸入地域となっている。輸入額は年間12億ドルに上り、年10%の割合で増加している。一方、ガイアナ、スリナム、ベリーズ、ジャマイカには未開発の農業用地が多数あり、人的資源も豊富である。従って、農業分野への投資は有望である。
    ブルーマウンテン・コーヒーや海島綿等は日本にも輸出されているが、日本企業とカリブ諸国の企業双方が利益を得る形での、さらなる貿易関係の発展が可能である。また、欧米を中心に需要が拡大している有機栽培農業の拡充にも努めている。


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