国民負担率ワーキンググループ(座長 米倉弘昌氏)/11月30日
急速な高齢化の下で、わが国の税と社会保険料を合わせた国民負担は、現行制度を前提とする限り、大幅に増加することは避けられない。経団連では税制や財政制度委員会の改革の取組みをより一層推し進めるために、各界への広報を念頭において、税と社会保障・財政を一体とした検討を行なうべく、国民負担率ワーキンググループ(座長:米倉弘昌住友化学工業専務取締役)を新たに設置し、11月30日初会合を開催した。以下はワーキンググループ設置の趣旨と第1回会合の模様である。
現下の景気悪化の原因の一つに、年金など将来に対する国民の不安があげられている。また、今般の法人税・所得減税の財源も、将来的には何らかの形で確保しなければならない。
高齢化に伴う社会保障費の増大など、将来における公共サービスの財源は、税あるいは社会保険料の形で国民が負担せざるを得ず、その水準や負担形態によっては、経済社会に多大の影響を与えるおそれが強い。
税制と社会保障・財政を一体として、検討しなければならない。
経団連では、税制については税制委員会、社会保障・財政の問題については財政制度委員会が、改革案を提言し、その実現に努めているが、こうした改革への取組みをより一層推し進めるために、各界への広報を念頭に置いて、税と社会保障・財政を一体とした総合的検討を行なっていくべく、「国民負担率ワーキンググループ」を新たに設置した。
このワーキンググループでは、国民負担率の増加が企業行動や経済に与える影響について、企業負担という観点のみならず、個人の負担やマクロの国民負担という観点からも検討を行ない、来年5月頃までに、議論の整理を行なう予定である。
11月30日の初会合では、事務局から本ワーキンググループ設置の趣旨、活動内容についての説明の後、各委員の間で活発な議論が展開され、以下の問題提起があった。
国民の負担の現状および将来予測と受益との関係について、国民に分かりやすく提示することが重要である。
国民負担率という単純な指標では、十分な議論は出来ない。もっとブレークダウンする必要がある(例えば、企業からの視点、個人からの視点等)。
中長期の国民負担への対応と、短期の景気対策とでは、政策の方向が異なる場合がある。この点に十分留意すべきである。