経団連くりっぷ No.92 (1998年12月24日)

日本・香港経済委員会(委員長 梅田貞夫氏)/12月4日

第21回日本・香港経済合同委員会を開催


日本・香港経済委員会は、香港側のカウンターパートである香港・日本経済委員会(レイモンド・チン委員長)との間で毎年合同委員会を開催している。本年は12月4日、第21回合同委員会を東京・経団連会館にて開催し、下記共同声明を採択して閉幕した。また、合同委員会終了後、チン委員長以下香港側メンバーは、今井会長を表敬した。

梅田委員長(右)とチン委員長(左)

第21回日本・香港経済合同委員会共同声明(英文正文、和文仮訳)

  1. 第21回日本・香港経済合同委員会は、1998年12月4日、東京で開催された。梅田貞夫 日本・香港経済委員長とレイモンド・チン 香港・日本経済委員長が同会議の共同議長を務めた。

  2. 高村正彦 外務大臣ならびに董建華 香港特別行政区行政長官より、祝辞が寄せられた。

  3. 同会議を通じて、参加者は、日港双方の景気低迷の打開策や、経済構造の変革、改革に向けた取り組み、そして、アジアの成長を取り戻すために日本と香港が果たすべき役割と双方の協力のあり方について、詳細にわたり議論した。

  4. 双方の参加者は、現下の経済情勢は非常に厳しいものの、アジア地域の成長については、中長期的には楽観的な認識を示した。そして、この地域の経済成長の基礎となってきた勤勉さや独立独行の精神、高い貯蓄率、柔軟性や旺盛な企業家精神などの強みは、今次の危機によっても損なわれていないことに留意した。さらに、アジア市場、なかんずく中国市場の成長性について、21世紀に向けて引き続き魅力あるビジネスの機会を提供していると認識したうえで、上記の要素は、アジア経済の早期回復に寄与するとの認識を共有した。

  5. 双方は、相対的に水準の高い日本の産業技術や応用研究開発を、香港の旺盛な企業家精神の土壌と結び付けることで、大きな相乗効果が生まれるとの点で一致した。

  6. 参加者は、ビジネス・ファシリテーターや地域のハブとしての香港の優位性は、1997年の中国返還や景気後退の後も失われることなく、「一国二制度」の原則は堅持されていることに留意した。また、参加者は、香港特別行政区政府が自由貿易と市場開放、公平な競争へのコミットメントを堅持し、多様で安定的、かつ犯罪率の低さを享受する国際化した社会を保っている点や、香港が引き続き、中国をはじめとするアジア地域でのビジネスを志向する日本企業にとってのゲートウェイとなっている点にも留意した。

  7. 日本側参加者は、董建華 香港特別行政区行政長官が施政方針演説の中で、香港の将来を、ハイテクのハブ、金融など付加価値の高い活動のセンター、そして、中国およびアジアの経済と世界経済とをリンクさせる主体と位置づけたことに歓迎の意を表した。特に、香港経済が次の世紀に必要とされる競争力を備えるため、ハードならびにソフトのインフラに対する投資を重視する姿勢を示したことを歓迎した。

  8. 香港側参加者は、香港での事業に要するコストが実質的に下がるとともに、香港の競争力や、日本等のビジネス・パートナーにもたらされる利益が改善していると強調し、日本側もこれに留意した。また、香港ドルが安定した価値を保っていることを歓迎し、企業が貿易を行なったり将来の計画をたてたりするうえで、この事実が重要な役割を果たしていると評価した。

  9. 双方は、香港特別行政区政府が、香港の金融調整システムに対する脅威に対して経済および通貨の安定を確保するため、例外的な措置をとらざるを得なかった事情に注目した。そして、市場操作への対抗としてのこうした措置は、香港の自由市場原則に反するものではなく、自由貿易と反保護主義に対する当局のコミットメントは依然として堅固であるとの点で一致した。

  10. 香港側参加者は、日本政府がとっている景気対策への支持を表明し、持続的な成長の達成を目指すこれらの対策が、アジア経済の牽引者であり、アジア・太平洋地域の最も重要な市場である日本の地位回復に貢献することを確信した。特に、日本経済のみならず世界経済のためにも、デフレ・スパイラルに陥るのを避けることが重要と日本が認識していることに留意した。

  11. 日本は香港にとって第3位の輸出先である。参加者は、最近の香港から日本への輸出は芳しくないものの、これはほどなく回復に向かうだろうとの見通しで一致した。

  12. 双方は、第22回日本・香港経済合同委員会を1999年に香港で開催することに同意した。


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