経団連くりっぷ No.92 (1998年12月24日)

メネム・アルゼンチン共和国大統領歓迎昼食会(経済7団体共催)/12月2日

メネム政権10年間の成果


国賓として来日したメネム・アルゼンチン共和国大統領を歓迎し、経済7団体による昼食会を共催した。スピーチの中で大統領は、アルゼンチンにおける政治的安定性の回復と経済の急速な発展を強調した。また修好100周年を迎えた日本・アルゼンチン両国関係の一層の緊密化への期待を表明した。以下は大統領のスピーチ概要である。

メネム大統領

  1. よみがえったアルゼンチン経済
  2. 19世紀にアルゼンチンは世界中から注目される有力国であったが、その後政治、経済とも道を誤り、混乱し、発展途上国と呼ばれるようになってしまった。
    しかし、90年代に入り、アルゼンチンは再び発展の道を歩み始めた。91年から97年までの平均経済成長率は6.1%を記録した。97年の数字を見ると、経済成長率は8.6%で、これは世界第3位である。インフレ率は0.3%で、89年に5,000%を記録したことから考えると劇的な差である。また財政赤字はGDP比1.4%となった。98年は成長率が5%前後、インフレ率は0.5%前後、財政赤字はGDP比1%未満となる見通しである。94年のテキーラ・ショック、97年のアジアに端を発した世界的な経済危機を克服したことは、アルゼンチン経済の堅固さを世界に示すこととなった。
    このような経済発展を可能ならしめたのは、規制緩和、税制の簡素化、投資誘致のためのインセンティブ等の施策である。海外からの投資額も90年から97年までの累計で300億ドル超にのぼり、さらに98年から2000年までの年平均では130億ドルに達する見込みである。
    日本企業は自動車、石油化学、電気通信等の分野に進出している。法改正により投資をしやすい環境となった上、メルコスールにより市場も拡大した。保守的な日本企業の投資態度も変わるのではないかと期待している。貿易面でも、鉱物資源や水産資源といった分野の拡大が期待される。

  3. 修好100周年、そして次の時代へ
  4. さまざまな政策を通じ、アルゼンチンは長期間にわたる低迷期を脱し、政治の安定、経済の成長、国際社会への復帰を成し遂げ、信頼を回復した。これまで大統領として、90年の即位の礼、93年の公式実務訪問、そして今回と3度訪日している。他方、日本からも政界、経済界よりたくさんの方にアルゼンチンへお越しいただいているが、中でも昨年の天皇・皇后両陛下、今年の秋篠宮・同妃両殿下のご訪問は画期的な出来事であった。修好100周年を迎え、両国の関係緊密化の度合が増しているが、これは次の100年を迎える土台となるものである。


くりっぷ No.92 目次日本語のホームページ