改正不正競争防止法に関する説明会(座長 塩見健三氏)/12月17日
97年12月に締結された「外国公務員への贈賄の防止に関するOECD条約」を国内で実施するための「不正競争防止法」の改正法案が、98年9月に国会で成立した。同法は99年2月15日の条約発効と同時に施行されるが、その運用については企業にとって不明確な点が多い。そこで通産省産業政策局知的財産政策室の金子課長補佐より、同法の概要と運用方針について説明を聞いた。
「営業上の不正の利益を得る」ことを目的として、外国公務員に対し、金銭、物品、供宴、接待、地位、情報などの利益を供与、申込み、または約束する行為が、国内での処罰の対象となる。
「営業」とは、収支計算に基づいて行なうすべての事業を含む。取引契約や工場建設、輸出入等の許可の獲得などがこれに当たるが、運転免許証の取得や子弟の大学入学などは当たらない。
「不正の利益」とは、公序良俗または信義則に反する形で得られる利益を指す。例えば政府調達の発注を決定する外国公務員の裁量に影響を与えたり、環境基準を満たさない工場の建設許可を得たりするケースが想定される。通常の行政サービス(税金還付、上下水道・電話の敷設等)の手続の円滑化のための支払い(facilitation payments)は該当しない。
外国公務員とは、
個人に対する罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金である。また法人に対する罰金最高額は3億円である。
今回の法改正に当たっては、属地主義のみを採用し、属人主義はとらないこととした。ただし贈賄行為の一部が日本国内で行なわれていれば、一連の行為が包括的に国内犯として扱われる。例えば日本の親会社とA国籍の子会社が共謀してA国においてその国の公務員に対し贈賄行為を行なった場合、親会社、子会社ともに処罰の対象となる。
*なお、12月17日のカナダの批准をもってOECD条約の発効要件が満たされ、60日を経た2月15日に発効することが決定した。同日、改正不正競争防止法も施行される。