経団連くりっぷ No.94 (1999年1月28日)

第558回常任理事会/1月12日

連立は是非とも必要


自由民主党が自由党との間で連立政権樹立に向けて政策協議を進める中、常任理事会では、自民党の森喜朗幹事長より連立を推進する背景等について聞いた。

  1. 連立の時代
  2. 94年6月の自民党、社会党(当時)、新党さきがけによる連立政権の樹立は、それまでのわが国の政治のあり方を大きく変えることになった。確かに当時は、三党間で合意を得るのに時間がかかり、政策展開は迅速性に欠け、また、多数党である自民党の低姿勢に対して党内外から批判もあった。しかし、社会党が政権参加を機に安全保障問題等で一大政策転換を行ない、長いイデオロギー対立の時代に終止符が打たれたことで、わが国の政治は連立の時代に入った。今や国民の間にも、そのような時代に対する認識が深まっている。

  3. 政権基盤の安定・強化
  4. では、なぜ今、過去のしがらみを捨てて自由党と連立を組むのか。それには、2つの背景がある。
    第1は、先の「金融国会」の教訓である。昨年7月、参議院選挙で自民党が敗れ、過半数を大きく割り込んだ中、臨時国会で金融再生関連法案ならびに早期健全化法案の審議が行なわれた。その過程でわれわれは、わが国国会における問題処理の手詰まりが世界経済にもマイナスの影響を及ぼすこと、迅速な問題処理が不可欠であることを痛感した。
    そこで、小渕総理が各党に協力を呼びかけたところ、これに応じたのが自由党であり、われわれとしても、大局的な見地から同党との連立に踏み切った。現在、自由党から提案のあった政策について詰めの作業を行なっているところである。難しい政策協議を経て自由党と連立を組んでも、参議院では過半数割れという状況に変わりないが、そのような数合せの議論ではなく、政権基盤の安定・強化のために連立を進めなければならない。

  5. 二大政党の実現
  6. 第2は、選挙制度の改革である。小選挙区制導入の狙いは二大政党の実現であった。その後は、多党林立で政局が不安定化しているのが現状であるが、小選挙区制を維持する以上は、当初の目的の達成に努力しなければならない。二大政党とはいかないまでも、少なくとも二大潮流を作る必要があり、そのために連立は不可欠である。
    自民党としては、率先してその方向に進んでいかなければならないし、そのために自由党と話し合いを行なっている。明日13日には総理が訪欧から帰国する。14日には、内閣を改造し連立政権を樹立したい。
    (*1月14日連立政権発足)。


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