経団連くりっぷ No.95 (1999年2月10日)

堺屋経済企画庁長官との懇談会(座長 古川昌彦氏)/1月19日

堺屋経企庁長官、PFIの有効性を説く


国土・住宅政策委員会では、新しい社会資本整備の手法であるPFI(Private Finance Initiative)の導入を推進すべく検討を進めている。その一環として、1月19日、政府のとりまとめ役である経済企画庁の堺屋太一長官を招き、わが国におけるPFIの推進について、説明を聞くとともに懇談した。

  1. 堺屋長官発言要旨
    1. PFIは新しい社会資本整備の手法であるが、従来型の公共事業や第三セクターとの違いを以下のように整理できる。
      「公共事業」は、公共のために、公共体(国・地方自治体)が企画・立案・発注して、運営管理を行なうものである。利潤追求は目的ではなく、その多くは租税によって賄われる。また、「第三セクター」方式は、公共にとってあった方がよいと思われる事業で、公共体の指導や監督または財産提供が必要な事業に対して、民間企業の資金や人材、ノウハウを参加させるものである。公共体は街おこしや住民利便の向上のために、民間企業は利潤追求のために、それぞれ共同出資者として、運営方法を協議していく。これに対して、「PFI」は、公共体が公共のために必要と認めて企画した事業について、民間企業が建設または運営管理を立案し、発注・運営するものである。公共体は公共サービスの充実のため、民間企業は利潤追求のために参加するが、両者の関係は、事業開始前に締結された詳細かつ厳格な契約で規定される。

    2. PFIは有効な社会資本整備の手法であると考える。それは、公共体は、当該事業に必要な公共サービスの質だけを提示し、そのやり方については最良の提案をした民間企業に任せるからである。これにより、利潤追求目的がなく前例踏襲型になりやすい公共事業とは違って、PFIは常に技術革新や経営努力の成果が採り入れられる。
      さらに、PFIでは、公共と民間企業との関係はあらかじめ契約で定められ、明確な責任分担が行なわれることから、第三セクター方式とは違って、公共の介入や追加的な負担の心配はない。
      今後の課題として、わが国においてPFI事業を行なう上で、いかに契約の概念を定着させるかが一つの大きなポイントになる。

    3. いずれにしても、わが国の財政事情・経済状態を踏まえれば、PFIを早期に実現させることが重要であり、PFI推進法案をぜひ今通常国会で成立させたい。

  2. 懇談(経団連側発言要旨)
    1. PFIの推進にあたって、内閣の強いリーダーシップを是非ともお願いしたい。
    2. PFI法案の早期成立をお願いしたい。
    3. PFIの推進にあたっては、良いモデルケースを作ることが有効である。
    4. 第三セクター方式との違いを明確にし、第三セクターと同じ轍を踏まぬようにすべきである。

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