経団連くりっぷ No.96 (1999年2月25日)

なびげーたー

今年、経団連は国際活動にどう取り組むのか

国際本部長 島本明憲


金融の安定、景気の回復そして高コスト構造の是正が現下の重要課題であるが、共通の問題はグローバル化対応。新たな地平を求め国際活動の重点も変わる。

  1. 2月8日開催の会長・副会長会議の今月の重要テーマは「経団連の国際活動への取組み」であった。1月に経団連の活動全般が取り上げられた後、各論として真っ先に国際活動が取り上げられたことになる。

  2. 最初に、提出された「国際活動への取組み(案)」の大項目を紹介すると、

    1. 21世紀に向けたわが国の通商戦略の検討、
    2. 国際交渉への民間の積極的関与、
    3. 国際金融システムのあり方などに関する検討、
    4. 効果の高い経済協力の推進、
    5. アジア経済の回復支援策の検討、
    6. 積極的な民間外交の展開、および
    7. 近隣諸国との関係強化、
    の7点であった。

  3. 当日は最初の2点が集中的に討議された。最近は米国、EUおよびアジアなどの国、地域への対応も、次期WTO交渉への対応を中心とする国際的なビジネス・ルールの立案・改善への取組みに大方は集約されている。かかる背景を踏まえ、具体的には日EU民間対話の枠組みおよびABAC(APECビジネス諮問委員会)への対応が討議された。とくに、前者については小渕総理の日本とEU全体との民間対話を促進したいとするイニシアチブがあった。

  4. 経団連の国際関係の委員会と関連する国内委員会が挙げて連携し、これらの問題に対応する他、以下の4点が指摘された。
    すなわち、第1に経団連と他の経済団体との連携、第2に官側の体制整備(関係する省庁の関与)の必要性、第3に官民の関係、第4に相手側との関係などであった。
    討議を通じ、1つの手本として日米財界人会議があり、他に米欧間のビジネス対話であるTABD(Trans-Atlantic Business Dialogue)が意識されていた。

  5. 日米財界人会議は経済団体の連携に関する1つの例である。経済団体の連携は日欧民間対話の枠組みおよびABACに対応する場合にも、それぞれのニーズに即して、そのままではないが必要とされた。
    ABACについては、これまでの経済団体間での話し合い、協力の経緯を基盤に、早急に経済団体の支援を得て、事務局を設置することとなった。これによりABACの3名の日本委員の過重な負担が減り、継続性が維持されることになる。
    日欧の民間対話の枠組みについても、既存の枠組みを活用しつつ、経済団体が連携していくことが必要とされた。さらに、日本の官側の体制整備と民間の意見を政府に反映させる仕組みが課題とされた。

  6. 本年から経団連の国際活動は、従来の2国間会議の開催、要人の受入など相互理解と民間外交の展開を中心とするものから、以上見てきたように、国際的なビジネス・ルールの立案、改善を中心とするものに、活動の重点が移ると考えている。関係する企業は一見少ないが、全体の問題であり、読者の積極的なご意見とご協力を賜りたい。


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