経団連くりっぷ No.96 (1999年2月25日)

日本インドネシア経済委員会(委員長 中村裕一氏)/2月8日

インドネシアの政治・経済情勢と新投資政策

−ハムザ・ハズ投資担当国務大臣兼BKPM(投資調整庁)長官との懇談会


実体経済の再建に向けさまざまな取組みが行なわれているインドネシアのハムザ・ハズ投資担当国務大臣兼BKPM(投資調整庁)長官が来日した。大臣は、野党第1党である開発統一党(PPP)の党首でもある。そこで、大臣から最近のインドネシアの政治・経済情勢ならびに投資分野における新政策の概要等について聞いた。

  1. ハムザ・ハズ大臣説明要旨
  2. ハムザ・ハズ大臣
    1. 政治
      インドネシアでは、政党法が制定され、新しい政党をつくる機会が生まれた。また、今年6月には総選挙が実施され、それを受けて8月の国民協議会総会で正副大統領が選出されることになっている。このように、インドネシアでは、透明かつ民主的な政治の実現に向けて着実な進歩が見られている。

    2. 経済
      インドネシア政府は、IMFの協力を得ながら、経済全般、特に金融、財政分野の改革に努めるとともに、資本流出の監視システムも導入した。その結果、将来的には、大量かつ急速な資本流出が起きても、この度のような経済危機は避けられるようになるだろう。また、われわれとしては、新宮澤構想等の日本からの支援が、中小企業の育成・強化に向けられることを強く希望している。

    3. 投資政策
      インドネシア政府は、投資促進のため、1月14日に「タックス・ホリデー」(特定産業に対する免税措置)の評価基準に関する大統領令を発表した。これにより、22業種における新規投資について法人所得税を免税とする。この他にも、許認可手続きの簡素化・迅速化、流通業および小売業への外資参入規制の撤廃など、より一層の投資促進に努めている。

  3. クスモ・インドネシア商工会議所連合(KADIN)インドネシア・日本委員長説明要旨
  4. インドネシア政府は、
    1. 南スマトラならびに西ジャワのガス・プロジェクト、
    2. ジャワの鉄道の電力化、
    3. ジャカルタの地下鉄、
    の3つのプロジェクトに対する特別円借款の要請を日本政府に提出した。

  5. 質疑応答
  6. 経団連側:
    現在、インドネシアには大変多くの政党が存在するが、総選挙に向けてそれらはどのような集約の動きをみせるか。

    ハムザ・ハズ大臣:
    総選挙に参加できる政党は10から20ぐらいだろう。次の政権は連立政権になる可能性もある。次の選挙で、与党であるゴルカルの得票率が20%以下だと、政府は大きく変わることになるだろう。ジャワ島では、経済危機の影響を強く受けているため、ゴルカルの得票率が下がるかもしれないが、それ以外の地域でのゴルカルに対する支持は依然として強い。

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