経団連くりっぷ No.96 (1999年2月25日)

経団連意見書 /2月24日

「わが国官庁統計の課題と今後の進むべき方向
〜報告者負担の軽減と利用者利便の向上を目指して〜」
を発表


経団連統計制度委員会では、この程、意見書「わが国官庁統計の課題と今後の進むべき方向〜報告者負担の軽減と利用者利便の向上を目指して〜」を発表した。本意見書は、会員企業に対するアンケート調査を基に、官庁統計のあり方について提言したものである。以下はその概要である。

  1. 官庁統計のあるべき姿
  2. 国が行なう統計調査の実施にあたっては、以下の3点をその基本的考え方とするべきである。第一に、調査内容が、経済社会の実態をとらえる上で必要かつ適切でなければならず、そのためには官庁統計全般について常に見直しを行なわなければならない。第二に、報告者の時間的・物理的な負担、実施主体(官庁、自治体)のコストを必要最低限に抑制しなければならない。第三に、調査内容は公共財であり、国民に対してタイムリーかつ利用しやすい形で提供されなけばならない。
    この3つの基本的考え方を徹底するべく、以下の具体的提言を行なった。

  3. 具体的提言
    1. 報告者負担の軽減のために
    2. 調査票の記入者(報告者)が被る負担の軽減に一番効果的なのは、不要統計の廃止である。既存統計を不断に見直し、抜本的にスクラップアンドビルドすべきである。この際、全調査を項目ベースでデータベースに登録し、重複項目の排除などを検討する必要がある。同時に、省庁間相互のデータ利活用、「行政記録」の活用や「報告時間」制度、ペーパーワーク削減法の導入も行なうべきである。

    3. 利用者利便の向上のために
    4. 情報通信技術の飛躍的発展を背景に、政府統計の利用者側にはアクセス面の改善に対するニーズが非常に高まっている。従来以上の詳細・豊富なデータを、インターネット等の媒体を通じて、パソコンで加工処理可能なかたちで提供すべきである。また、結果公表の早期化、発表スケジュールの事前公表にも努めることが必要である。

    5. 更なる改善の仕組みをビルトインするために
    6. 官庁側の自主的な改善努力がもっと働くような法的・制度的な仕組みを構築すべきである。統計関連法規を見直して、統計の総合調整機能を強めることや、民間企業からの参加者が1名に止まっている統計審議会の委員構成を見直し、バランスの取れた議論をしていくことが必要である。

    以 上


わが国官庁統計の課題と今後の進むべき方向
〜報告者負担の軽減と利用者利便の向上を目指して〜


官庁統計のあるべき姿 〜基本的考え方〜

  1. 調査内容が経済社会の実態をとらえる上で必要かつ適切でなければならない。
  2. 報告者及び実施主体のコストを必要最低限に抑制しなければならない。
  3. 調査内容は公共財であり、国民に対してタイムリーかつ利用しやすいかたちで提供されなければならない。

具体的提言

報告者負担の軽減のために

  1. 不要統計の廃止
    ・統計の不断の見直し(スクラップ&ビルド)と統計数量の抑制

  2. 全調査項目の把握・規格の統一・重複排除
    ・データベースの作成・登録
    ・類似調査項目の洗い出し・統一化

  3. 統計調査・行政情報の総合的活用
    ・各省庁間でのデータの相互利用
    ・行政記録の統計への活用

  4. オンライン報告の導入
    ・端末から直接送信できる仕組みの導入

  5. 報告時間・ペーパーワーク削減法の導入
    ・報告者負担の数値化
    ・負担にキャップ制を導入して総量削減

利用者利便の向上のために

  1. アクセスの改善

    1. インターネットでのデータ提供
      ・加工可能な形式でのデータの充実
    2. 検索用統計インデックスの作成
      ・情報の在処の検索

  2. 調査結果の公表早期化
    ・景気関連調査などは速報性優先

  3. 発表スケジュールの事前公表
    ・年間計画公表による信頼性確保

  4. 情報の更なる開示

    1. 統計情報の開示ルールの確立
    2. マイクロ・データの提供
    3. 推計方法の開示

官庁統計に更なる改善の仕組みをビルトインするために

*報告者負担と利用者利便のバランスに配慮できる体制の構築

  1. 統計関連法規の見直し
    ・統計法、統計報告調整法、各省設置法の見直し

  2. 統計審議会の抜本的見直し
    ・学者、行政、報告者、利用者の各代表をバランス良く配する

  3. 「統計行政の新中・長期構想」の検証
    ・統計審は、期限を区切って進捗状況の評価と今後の改善策を提言すべき


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