経団連くりっぷ No.96 (1999年2月25日)

輸送委員会 企画部会(部会長 近藤 晃氏)/1月18日

空港処理容量の拡大を求めて

−運輸省航空局と懇談


輸送委員会では物流効率化をテーマに掘り下げた検討を進めているが、その一環として、運輸省航空局の久保保安企画課長、武藤航空企画調査室長より、空港処理容量の拡大策について聞くとともに、意見交換を行なった。

  1. 運輸省側説明要旨
    1. 空港建設、空港財源について
    2. 航空旅客数、貨物取扱量は国際、国内とも増加を続けており、今後も底固い伸びが予想される。地方空港は概成した観があるが、関西国際空港、中部国際空港等、大都市圏拠点空港の整備は今後も重点的に進めていく必要がある。
      空港整備特別会計への一般財源の投入は平成11年度予算案ではかなり高い伸びを確保したものの、絶対額としてはまだ少ない。一般財源の拡充に引き続き努めていきたい。
      空港使用料等について諸外国に比して高いとの指摘を踏まえ、来年度より引き下げることとした。具体的には、2種A空港および共用飛行場について、着陸料を現行の3分の2へ軽減する他、上空通過機と着陸機との負担の公平化により航行援助施設利用料の軽減を図る。

    3. 空港処理容量の拡大策
    4. 空港処理容量の拡大策としては、飛行機の運行間隔を小さくする、着陸後の飛行機の滑走路占有時間を短くする等があるが、わが国では大型機が多く運行間隔を短縮することが難しい、騒音問題のために離着陸経路がかなり制約される等、拡大策を実施する上でネックとなる状況がある。
      まず、現在の滑走路の物理的限界を明確にした上で、パイロット等、専門家の協力を得つつ離脱誘導路の整備、管制の運用方式の見直し等、ハード、ソフトの両面から空港処理容量の拡大を検討していきたい。発着枠の拡大につながれば、物流効率化の観点からも効果が大きく、知恵をこらしていきたい。

  2. 懇 談
  3. 経団連側:
    今回の着陸料の引下げでは1種空港が対象外となっているが、利用者利便向上の観点からは利用の多い1種空港こそ、引き下げるべきではないか。
    運輸省側:
    引き続き大都市圏拠点空港の整備を続ける必要性に鑑みれば、大きな歳入減となる1種空港での引下げは難しい。個々の1種空港の状況をみても、例えば羽田空港では、これまでの整備費用の借入れに対する利払いが年間で400億円に達している。

    経団連側:
    騒音対策を講じることによって、内陸部への離陸、内陸部からの着陸を可能にし、混雑空港の容量拡大を図ることはできないか。
    運輸省側:
    確かに内陸部への離陸等が可能になれば、容量の拡大につながるが、騒音対策等で地域住民の理解を得ることは並大抵ではなく、実際には難しいと言わざるを得ない。


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