WTOサービス自由化に関する懇談会(座長 太田参与)/2月23日
WTOの金融サービス交渉において議長を務めた大蔵省の大久保副財務官より、WTOを通じた金融サービス自由化の意義などについて説明を聞くと共に懇談した。
WTO協定の付属書であるサービス貿易一般協定(GATS)は、最恵国待遇、内国民待遇、透明性といった比較的簡単な原則から成り立っている。最恵国待遇原則とは、二国間交渉での合意内容を全加盟国に均てんさせるというものである。多国間の貿易自由化を基本に戦後の経済発展を遂げてきたわが国の経済外交にとって、この原則が意味するところは大きい。
また、GATSでは、サービス提供者の数、取引総額・資本総額、外資参加などの制限を漸進的に削減していくという、いわゆる「市場アクセスの改善」の概念を中心に貿易自由化を推進している。
金融サービス市場には、一つのサービス提供者が破綻すると健全な提供者も含めて連鎖的に問題が波及するといったセンシティブな問題がある。そこで、預金者の保護、市場の安定性を目的とした信用秩序維持のため、外国の金融機関に対し差別的な措置をとることが例外的に認められている。ただし、この例外措置が協定全体の意義を骨抜きにしてはならない。今後、金融分野に係る紛争処理案件において信用秩序維持と無差別性の関係について議論される余地があろう。
金融自由化には、
わが国は、外国の金融機関への市場開放を比較的早い段階から進め、その後、監視体制の整備と資本取引の自由化を進めた。この順序付けで自由化を進めると、まず外国金融機関のノウハウを国内市場で吸収することが可能となるなどの利点がある。この意味からも、外国金融機関の進出の自由化は重要な意義を持つと言える。
内外無差別といった基本的な原則を打ち立て、それをWTO等の交渉を通じて実現していくには「構想力」が重要である。経済がグローバル化するなか、わが国も内向きになることなく、こうした構想力を確立していく必要がある。このためには、国民的議論が必要であり、民間産業界からの貢献を期待したい。