経団連くりっぷ No.97 (1999年3月11日)

日本カナダ経済委員会幹事会(座長 島本国際本部長)/2月23日

カナダの対外経済課題

−マクドナルド在京カナダ大使館公使に聞く


日本カナダ経済委員会幹事会では、在京カナダ大使館のマクドナルド公使より、WTO次期交渉、米州自由貿易地域(FTAA)、日本カナダ二国間経済関係に関するカナダ政府の見解を聞くとともに、5月にバンクーバーで開催する第22回日本カナダ経済人会議について打ち合せた。

  1. 多角的貿易自由化交渉
    1. カナダ政府は、WTO次期自由化交渉について、交渉事項をいくつかのまとまりに分け、それぞれを異なるタイムテーブルで進める、いわゆる「クラスター方式」を提案している。これは、包括的アプローチによって交渉内容が広範になり時間がかかる、セクター別交渉によって特定国の主張だけが突出するといった他の交渉方法の問題点を解決するものである。クラスターの交渉事項は未定であるが、各国からの支持が得られれば自ずと交渉事項も合意に至るものと考えている。

    2. 主要交渉項目に関するカナダ政府の立場は以下のとおり。

      1. 関税引下げ:工業品の高関税の引下げ、2%以下のニューサンス・タリフ撤廃を重視。
      2. 非関税障壁:貿易手続き上のコスト削減、基準、関税評価、原産地規則、アンチダンピング、相殺関税、セーフガード等に関心。
      3. サービス自由化については、自由職業サービス分野を特に重視。
      4. 農業についてはすべての輸出補助金の削減を目指す。
      5. 知的所有権、電子商取引、政府調達の透明性、投資、競争政策の貿易側面のルール整備の実施を期待。
      6. 文化、環境、労働、消費者の安全に係る社会政策の国内規制については貿易の例外とする権利を各国が留保すべきである。

  2. FTAA
  3. 94年のマイアミ米州サミットで青写真が打ち出されて以来、カナダは域内第2の経済としてFTAAの実現を主張してきた。すでにカナダはチリとの間に自由貿易協定を結んでいる。2000年までにラテン・アメリカ、カリブ地域はGDP総計2兆ドル、人口5億人の市場となり、FTAAはビジネス機会の拡大につながる。

  4. 日本カナダ二国間関係
    1. カナダからアジア大洋州への輸出の半分が対日輸出であり、カナダは引き続き日本を重要な貿易相手国であると認識している。また、貿易のみならず、双方向の投資促進に意欲を持っている。

    2. 昨年10月の日加次官級経済協議でカナダ側から基準の相互承認に関する議論を行なう旨提案した。

    3. 両国の経済関係強化に向け、カナダ政府は対日アクションプランを発表している。カナダが重視する分野は、農水産品、建築用材、情報関連技術、ヘルスケア・医療機器、消費財(家具等)、観光の6分野である。


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