第27回中国地方経済懇談会/3月9日
経団連では、中国経済連合会(中国経連)と共催で、標記懇談会を広島市において開催した。当日は、多田中国経連会長をはじめ地元経済人約200名が、経団連からは、今井会長、伊藤・樋口・古川・辻・鈴木の各副会長が出席した。また、懇談会に先立ち、経団連側は、世界トップの穀類加工技術を有する佐竹製作所を訪問し、最先端の技術を取り入れた精米プラントをはじめとする各種の機器等を見学した。
わが国経済は消費や設備投資が低迷する中で、雇用情勢も悪化するなど、戦後最悪ともいえる危機的な状況にある。政府においては、これまで以上のスピードを持って構造改革を推進するとともに、将来に向けてのビジョンとそこに至る道筋を国民にはっきりと示すことが求められる。
その一方で、地方も「自立と自己責任」のもとで各地域がそれぞれの特性を活かしながら、多様な参加と連携を通じて地域の活性化を図っていくことが求められている。中国経連では、広域的な交流・連携の拠点づくりを目指しており、岡山・倉敷・高松広域都市圏の形成や山口県西部地域の振興など、広域経済文化交流圏の形成を推進している。
現在、わが国経済は危機的な状況にあり、経済の再生が最大の課題となっているが、わが国経済の再生のためには地方経済の再生が急務である。そのためには、地方分権の推進とともに、地方振興という視点からの取組みが必要となる。
中国経連では、「中国地方産業振興ビジョン」等をとりまとめ、製造業に軸足を置いた産業振興に取り組んでいる。また、中国地方は第3次産業の伸びが他地域に比べて低い状況にあり、今後は医療・情報・環境・観光等のサービス産業の振興にも取り組んでいきたい。
地域が固有の特性を活かした地域づくりに取り組み、自立を達成するためには、地方分権の推進が不可欠である。他方、地方分権の推進をめぐる一連の議論の中では、国と地方の役割分担の明確化が十分に貫徹されていない。また、国から地方への税財源の移譲についても方向性が示されているだけで、具体性に欠けている。地方が自主的な地域づくりを推進していくためには、権限の委譲にあわせ、税財源の移譲を進め、地方財政を確保することが不可欠である。
また、今後の経済社会の変化に対応するためには、広域連合制度の導入ならびに市町村合併など広域的・効率的な行政体制を整備することが求められる。中国経連でも、地方分権と広域行政の推進に積極的に取り組んでいきたい。
昨年3月に、新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」が閣議決定された。その中で、中国地方は「多様な主体の参加と連携の下でグローバルな交流を進める多軸・分散型発展の先導的地域」と位置づけられている。中国経連では、かねてより「三海二山交流圏構想」を提唱してきており、今後はこの計画の具体的な展開を図ることが求められる。具体的には、
山陰地域は、豊富な観光資源に恵まれており地域の持つポテンシャルは本来高い。しかし、太平洋ベルト地帯とは異なり日本海沿岸地域の産業基盤等の整備は遅れており、その中でも特に山陰地域の整備は遅れている。
中国経連では、鳥取・島根・山口の3県の産学官のメンバーで構成する「日本海グランドデザイン研究会」を設立し、「山陰・日本海国土軸グランドデザイン」を策定した。これは日本海国土軸における山陰地域の可能性と発展の方向性を展望したものである。
山陰地域の活性化のためには、
樋口副会長は、経済戦略会議の答申を踏まえた「日本経済再生への戦略」、伊藤副会長は「現在の不況からの脱出のためには社会保障制度改革を断行し、国民の将来への不安感を取り除くことが不可欠」、鈴木副会長は「企業は常に末端の需要まで注視して敏感に対応し、今こそ創意工夫を発揮していくべき」、辻副会長は「経団連環境自主行動計画を着実に実行し、企業の自主的取組みの効果や成果を大いにアピールしたい」と訴えた。古川副会長は、地域連携の必要性について説明するとともに、「中国経連の地域活性化に向けた真摯な取組みに敬意を表する」と述べた。最後に今井会長が「多田会長のリーダーシップの下に、今後とも中国経連が中国地方の発展を担っていくことを期待している」と締めくくった。