経団連くりっぷ No.98 (1999年3月25日)

シェワルナゼ・グルジア大統領との懇談会(座長 安西邦夫日本ロシア(NIS)経済委員長)/3月5日

日本企業とのプロジェクトは、大統領が推進する


来日中のシェワルナゼ・グルジア共和国大統領を迎え懇談会を開催し、同国の経済政策、対外経済関係等に関する大統領の考え方を聞いた。

  1. シェワルナゼ大統領説明要旨
    1. 進展する経済改革
      1. わが国は、旧ソ連の崩壊後、民主主義国家の建設を目指して、94年から危機脱却プログラムに基づく経済改革(金融システム改革、民営化、価格・貿易の自由化、税制改革など)を推進している。
        その成果は、インフレ克服、プラス成長という形ですでに95年に効果が現れている。98年にはロシア金融危機の影響は受けたが、破壊的影響は免れた。

      2. 民営化も進んでおり、現在では、国家財政の5分の4を民間企業が支えている。
        銀行システム改革はIMFの助言の下に進んでおり、世界銀行、欧州復興開発銀行などもプロジェクト実施にグルジア銀行を利用している。また、商業銀行法をはじめとして市場経済化に必要な法制度が着実に整備されている。

      3. 経済改革の推進においては、先進諸国、国際機関から財政・技術・人道面で支援を受けたが、日本も無償資金供与、円借款、人材派遣、国際機関への拠出を通してあらゆる分野に協力してくれた。

    2. 投資環境の整備
    3. わが国は、EUとの間で「協力とパートナーシップに関する協定」を締結するなど外資誘致にも積極的に取り組んでいる。その結果、96年から98年にかけて37カ国がわが国に投資している。

    4. 日本企業への期待
    5. 日本企業との間でも電力、輸送、保険医療分野などで多くのプロジェクトが話し合われているが、私自身が、国家投資評議会議長を務めており、日本とのビジネスを積極的に進めていく。現在、港湾、空港、水力発電所の改修、医療施設の近代化、鉱山開発などを含むODA要請リストを提出している。この他、輸送、農業、食品、通信、観光、航空機、造船、科学技術などへの日本企業の投資を期待する。

  2. 質疑応答
  3. 日本側:
    物流インフラ整備の優先度はどうか。
    シェワルナゼ大統領:
    グルジアは貨物の中継国で、特に港湾整備を重視している。

    日本側:
    電力、通信、港湾、石油化学などの国営企業の民営化プランはあるか。
    シェワルナゼ大統領:
    民営化はすべての分野で進めており、製鉄、化学コンビナートの民営化も計画されている。

    日本側:
    中央アジア、コーカサスのエネルギーをグルジア、ロシア、トルコなどを経由して搬出するとの報道があるが、どうか。
    シェワルナゼ大統領:
    関係各国ともすでにパイプラインを建設しあるいは計画を進めており、グルジアはカスピ海の石油輸送のためポチ〜スプサ間のルートを完成している。

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