産業技術委員会政策部会(部会長 武田康嗣氏) /2月23日
昨年秋より、国の科学技術会議では、次期科学技術基本計画の策定も念頭に置き、現行の基本計画について推進状況を調査するとともに、そのフォローアップの一環として、産学官の有識者からヒアリングを行なった。そこで、今般、科学技術庁の丸山計画・評価課長、加藤調査課長を招き、同基本計画のフォローアップ状況や内外の動向等につき説明を聞くとともに懇談した。以下は、科学技術庁側の説明の概要である。
創造的な研究開発システムの構築
競争的資金の大幅拡充、ポスドク等1万人支援計画等はほぼ計画通りであるが、研究支援者の拡充は目標値に達していない。
連携・交流の促進
国内の制度面はかなり改善されたが、外国人研究者の受入れがあまり進んでいない等、海外との連携・交流が不十分である。
研究開発基盤の強化
国研・大学ともに老朽化した施設・設備を整備してきたが、要修繕面積は計画当初と変化がなく、格段の努力が必要である。
政府の研究開発投資
科学技術基本計画の策定以降、科学技術関係経費は増加し、1996年度〜99年度までの合計は13.3兆円と見込まれており、目標値である17兆円まで残り3.7兆円となった。
全体的な事項
科学技術基本計画は研究活動の底上げに大きく貢献したが、研究開発システムの一層の構造改革、国家的戦略と研究開発の重点化等が指摘された。
研究開発システム面
研究活動の効率性向上のための制度改善に加え、研究者の一層の能力向上を図るため、本格的な流動化に向けた施策の必要性が挙げられた。
人材面
世界水準の外国人研究者の積極的受入れとそのために必要な魅力ある研究環境、必要とされる研究者と養成される研究者とのバランスが重要との指摘があった。
資金面
わが国の研究開発全般のレベル維持と底上げ、および重点化に向け、国の科学技術予算の一層の拡充が求められた。
米国では、85年のいわゆるヤングレポート以来、今日まで産業競争力の分析、戦略策定等を行なうとともに、80年のバイ・ドール法等競争力強化に関する具体的な施策の枠組みを80年代初頭から整備してきた。今般、米国では情報・ライフサイエンスを一つの戦略分野と捉え、それは国の研究開発予算にも反映されている。他方、英国では、93年に自国の科学・工学・技術の優位性を維持することにより、国家の競争力および生活の質の向上を目指した「科学・工学・技術白書」を発表するとともに、この白書に掲げられた目標を達成するため、国を挙げて、今後10〜20年内に自国にとって重要な技術分野を選定し、優先度を付けた「技術予測プログラム」を推進している。